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行方 春口裕子 双葉社

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春口裕子は初挑戦の作家さん。今回読んだ『行方』はすっごく後味の悪い作品だった。

この作品を読むまで知らなかったけれど、最近「イヤミス」と言う言葉があるらしい。

後味が最悪で、読んだ後にイヤな気分になるミステリの事を指す言葉とのこと。有名どころだと湊かなえの書く作品がイヤミスにあたるらしい。

初挑戦の作家さんんのだけど、この作品の作者もイヤミス作家として定評のある人らしい。

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行方

ザックリとこんな内容
  • ある日、公園から3歳の娘が行方不明になる。
  • 両親は必死に捜すが、見つからないまま22年が過ぎる。
  • 自堕落な生活を送る主人公のもとに、手紙が届く。差出人は、消息不明の妹を捜し続けている男だった。

感想

「すっごく後味の悪い作品だった」と最初に書いたけれど、作者の書いた作品の中ではかなりマイルドな仕上がりらしい。

私は「え~っ。これはないわぁ~。」と思ったのだけど、こういう作風も1つのジャンルとして確立されているのだろうなぁ…と興味深くはある。好き嫌いを問われたら、どちらかと言うと嫌い。

嫌いなタイプの作品ではあるものの「上手いな」とは思った。

ミステリの場合、どこまで話を書いて良いのかが迷うところなのだけど、3歳の女の子が行方不明になるところから物語がはじまる。

子どもが行方不明になった家族を含めた周囲の人間の人間模様を描きつつ、長い時間を経て真相が明らかになる……と言う物語。

私も娘を持つ親なので、子どもがいなくなった時の描写には心底ゾッとした。嫌な感じに上手い。

そして周囲の人間模様の描き方も素晴らしい。これもまた実に嫌な感じだ。この「嫌な感じ」は褒め言葉として取っていただきたい。それくらい上手いってことだ。

しかし肝心の物語はそこまで面白いとも思えなかった。

「ペットOKのペンション」とか出す必要があったのだろうか? 犬の描写とかエピソードとかこの作品に必要だとは思えなかった。

話の軸になる部分は面白いのだけど、ペンション以外にも「ここ、物語に関係ないのでは?」と言う無駄な部分が多過ぎる気がした。そんなの描くよりもっと物語の本質を掘り下げてもらいたい。

物語のオチと言うか、解釈と言うか着地点もイマイチ納得出来ない感じ。

ミステリ作品にハッピーエンドを求めてはいないのだけど、なんかそれなりにハッピーエンド風になっているところが余計にモヤモヤすると言うか。「上手いな」とは思うものの私の好みには合わない作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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