「へぇっ。なるほどなぁ」と思って読んだが、イマイチ好きになれない作品だった。江國香織
の作風って、どうも苦手なのだ。作品によっては「面白かった」と思えるものもあるのだけれど、全般的にNG率が極めて高い。
カップヌードルを作るよりも簡単に不倫カップが誕生してしまうところも、登場人物達の恋愛感も、まったくもって感覚が合わないた。
薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木
情熱。ため息。絶望…でも、やっぱりまた誰かを好きになってしまう!恋愛は世界を循環するエネルギー。日常というフィールドを舞台に、かろやかに、大胆に、きょうも恋をする女たち。主婦。フラワーショップのオーナー、モデル、OL、編集者…etc.9人の女性たちの恋と、愛と、情事とを、ソフィスティケイトされたタッチで描く「恋愛運動小説」。
アマゾンより引用
感想
この作品は、数組の男女が登場するのだが、物語が平行に進んでゆく部分と、それぞれのカップルの関係が交錯するのとがあいまって、なんだか自分が盗聴者にでもなった気分に陥ってしまった。
手法としては面白いと思う。
たまに、こういう手法を見かけるけれど、全部の世界を処理しきれずに切りっぱなしになるケースが多いのに、ちゃんと、まとまりがついていたのには感心してしまった。
特記事項と言うと、それくらい。強いてもう1つくらい書いておくとすれば「食事の場面」が美味しそうだったのが印象的だった……て感じだろうか。
私、好きじゃないのだ。江國香織って。
ディープなファンが多い作家さんを「好きじゃない」って書くのは、とても気が引けるのだが、そうなんだから仕方がない。だいたいからして私は「女性に人気」の作家さんの作品って、イマイチ性に合わないことが多い。
その筆頭が江國香織。そして川上弘美、山本文緒と続く。
「上手い」と感じるのと「好きだ」と感じるのは、まったく別次元の問題なのだ。彼女らの作品は、正直なところ好きじゃない。
大っぴらなところで、彼女らを「好きじゃない」って書いたのは初めてかも知れない。
自分のHPだから書けるのだなぁ。ファンの人がいたら、ごめんなさい。石投げないでください。下手糞だって書いてる訳ではないのです。ただ好きになれないだけの話で。
私の中ので江國香織は「女性の理想を、ふわふわしたタッチで書く作家さん」川上弘美は「女性をとことん甘やかせてくれる、愚かな姉のような、優しい作家さん」山本文緒は「当たり前のことを当たり前に書く、いささか面白味のない優等生的な作家さん」という印象。
しかし、今回の作品読んでみて作者に対する見方がちょっとだけ変化した。
作品は好きになれないけど、話をしたら面白い人かも知れない……と。特に食べ物話。もしかしたらエッセイだったら好きになれるかも知れないかも……と思ったり。
1度、作者のエッセイを読んでみよう。また見方が変って面白いかも知れないと思った。