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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー ブレイディみかこ 新潮社

私は基本的に小説をメインに読んでいるけど、今回はフィクション。しかもテーマが人種差別とかそういう感じ。

イギリスで保育士として働く日本人女性が描いた作品で、息子の中学生活のことを描いている。

イギリスの学校と言うと『ハリーポッター』の魔法学校を思い浮かべる人が多いと思うのだけど、作者の息子の通う学校は魔法学校どころか底辺と呼ばれる公立中学。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は私の知らない世界ことが鮮やかに描かれていた。

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

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新潮社
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ザックリとこんな内容
  • イギリスで保育士として働く日本人女性の子ども「ぼく」が主人公のノンフィクション。
  • 優等生の「ぼく」は小学校はハリーポッターの世界を思わせるようなカトリック校に通っていたが、中学は人種も貧富もごちゃまぜの「元・底辺中学校」に進学する。
  • 人種差別やジェンダー問題等、貧富の差などがうずまく環境の中で「ぼく」はアイデンティティについて悩みつつ成長していく。

感想

「ダウンタン」とか「スラム街」とか言うと、アメリカとか経済的に豊かとは言えないアジア諸国のイメージがあったのだけど、イギリスにもそんな地域があった…って事に驚いた。

よくよく考えてみると私はイギリスのことを何も知らないのだ。

イギリスは「先進国」と呼ばれる国の中に入っていて、王室が存続する国…くらいの事しか分かっておらず伝統を重んじる「豊かな国」と言うイメージがあったのだけど、私の想像していたイギリスはリアルイギリスとは違っていたらしい。

  • 人種差別はあるし、しかもシビア
  • 貧富の差が激しい
  • 思っいてたより移民が多いらしい
  • 日本より性差別に関する意識が高い

まずは「イギリスってこんな国だったんだ!」と言う驚きが大きかった。

主人公である作者の息子「ぼく」は良家の子女の通う小学校から、底辺中学校に進学する。イギリス人と日本人の間に生まれた「ぼく」は中学校で酷い扱いを受けることになるのだけど、ちょっとビックリするのは「中学校に入るまでそこまで酷い差別を受けたことがなかった」って事実だ。

本心でどう思っているかは謎だけど、豊かな生活をして教育を受けた人達は、表立って差別をしないけれど、貧しい暮らしの中でしっかりした教育を受けていない人達は平気で差別をする。

少し話がそれてしまうけれど、日本では「親の経済力と学力が比例する」と言われている。東大生の親の年収中央値が1000万円超えていることからも、あながち「親の経済力=子どもの学力」と言う説は否定できない。

実際は親の経済力がそこまで高くなくても、子どもの教育に熱心な親もいる訳で「経済力の問題…と言うよりも、教育の問題じゃないのかな?」と個人的には思っている。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の中で描かれていた世界も「教育を受けていないこと」が差別に繋がっているような気がする。

「ぼく」は底辺中学で多くの経験をしながら逞しく成長していく。そのこと自体は素晴らしいと思うし「子どもって凄いな!」と感心するものの、「ぼく」のような経験をした人達が漏れなく「ぼく」のように逞しく生きられるとは限らない。そう思うと、なんだかちょっと微妙な気持ちになってしまった。

私の好きな作家、有吉佐和子は『非色』と言う作品の中で「自分よりも下の人間を設定して差別する人達」を描いているけれど、今でもその構図は変わっていなのだと思い知らされた。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』自体は読みやすい文章でサクサク読めるし、爽やかな物語だけど色々なことを考えさせられたし、読んで良かったと思う。

「毎日の生活で考えたこともないことを考えるキッカケ」として、若い人に読んで欲しいと思う作品だった。

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