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陰翳礼讃 谷崎潤一郎 中公文庫

法事のお下がりで戴いた水羊羹を食べていたら『陰翳礼讃』の羊羹のくだりが猛烈に読みたくなって久しぶりに手に取った。表題作を含む随筆集。

『陰翳礼讃』は教科書にも取り上げられているので、読んだことのある人は多いかと思う。

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陰翳礼讃

陰翳礼讃/懶惰の説/恋愛及び色情/客ぎらい/旅のいろいろ/厠のいろいろ 人はあの冷たく滑かなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。(本文より) -西洋との本質的な相違に眼を配り、かげや隈の内に日本的な美の本質を見る。

アマゾンより引用

感想

『陰翳礼讃』の羊羹の描写ほど羊羹を美味しそうに表現している文章を私は知らない。

初めて読んだのは中学生だったか、高校生だったかハッキリ覚えていないのだけど、目の前が開いたような衝撃を受けた。

『陰翳礼讃』と言う題名通り「闇」にまつわる話がギッシリ詰まっているのだけれど、淫靡なのに上品で、上品なのに強引な文章は大人になって読み返してみても、いまだ感想は変わらない。

羊羹と共に衝撃的だったのが江戸時代の女性がお洒落としてつけていた鉄漿(おはぐろ)の説明だ。

テレビで見る時代劇の女性は今風に白い歯で笑っているけれど、時代劇の頃の女性は白い歯を鉄漿で黒くしていたらしい。

陰翳礼讃を読むまで「それは、無いわぁ。どうして、わざわざ汚くするんだろう?」と不思議でならなかったのだけど、薄暗い日本家屋で暮らす女性が「あえて」鉄漿をすることで美しさを表現するのだと言う文章を読んで「なるほどなぁ」と納得した。

『陰翳礼讃』には羊羹のように「そのもの」を書いている物も多いけれど、どちらかと言うと舞台(住環境)と、照明(光)を含めての美を描いている物も方が多い。

最近は建築でもインテリアでも対象物だけでなく「それを置く場所」や「光」を考えてプロデュースするのが当たり前になっているけれど、谷崎潤一郎の生きた時代にそれをサラッっと主張しているのは当時としては新しかったのではないかと思う。

しかし、その新しい考えが「日本古来の美」を求めているところが粋である。

『陰翳礼讃』以外の作品も面白い。特に好きなのは『厠のいろいろ』。

トイレについてあれこれ書かれているのだけど、谷崎潤一郎の凝り性っぷりが楽しい。トイレでここまで書けるものかと感心させられる。トイレにさえも「風流」を求める谷崎潤一郎は実に面倒くさい人だと思う。

だが、そこが良い。「やっぱ、年を取ったらバリアフリーで洋式トイレじゃないと困るでしょ?」なんて野暮な話は言いっこ無しだ。

谷崎潤一郎の小説はフェティシズムが爆発しているものが多いけれど、そのベースを知る上でも興味深い1冊だと思う。

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白い木蓮の花の下で
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