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一の糸 有吉佐和子 新潮文庫

『一の糸』のヒロインは、有吉佐和子の描いた女性の中では、奇抜なタイプではないかと思う。

有吉佐和子は作品数の多い作家さんで、物語の幅広さはには目を見張るものがあるが、ヒロインに関していうならば「忍従の女」とか「努力の人だが地味な女」が圧倒的に多い。

もちろん、この作品のヒロインも、そういう傾向はある訳だが、己の恋に生きた女性と言う意味で、他の作品とは一線を画しているように思う。

あえて何かに例えるならば、宮尾登美子の作品に出てきそうなヒロインって感じ。

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一の糸

造り酒屋の箱入娘として育った茜は、十七歳の頃、文楽の三味線弾き、露沢清太郎が弾く一の糸の響に心を奪われた。

その感動は恋情へと昂っていくが、彼には所帯があった。

二十年が過ぎた。清太郎は徳兵衛を襲名し、妻を亡くしていた。独身を通した茜は、偶然再会した男の求婚を受入れ、後添えとなるのだった。

大正から戦後にかけて、芸道一筋に生きる男と愛に生きる女を描く波瀾万丈の一代記。

アマゾンより引用

感想

裕福な商家の娘に生まれたヒロインだが、三味線弾きに惚れこんで、家を飛び出し、男に抱かれて帰ってくる……という突っ走りっぷりに、初めて読んだ時は度肝を抜かれた。

ありがちな話と言えば、そうなのだけど「あの、有吉佐和子ヒロインが…」という点で吃驚だったのだ。

しかも、相手は妻子持ちで、その当時は結ばれず、時間の経過を経て(男の妻が亡くなって)後妻におさまるところから、本当の物語が始まっていくのだ。

実はの作品。ヒロインの成長よりも、むしろ芸に生きる男の物語に主体が置かれている。

恋するヒロインの口から、男の格好よさを浮かび上がらせる仕組みになっていて、特に後半のメインになる「男の意地の張り合い」は、ドキドキするほど面白い。

構成力が素晴らしいのだなぁ。まったくもって「上手いっ!」の一語に尽きる。

そして、いっとう輝いていたのはヒロインでも、三味線弾きでもなくて、ヒロインの母親だったりする。

この人は作者が本来得意とするタイプの出来すぎた日本女性。

脇役ながらも「いい仕事してますねぇ」という目立ちっぷり。この手の女性を書かせたらピカイチだなぁ…と思わずにはいられない。

読み応えのある作品だし、面白さで言うならば、折り紙付きではあるけれど、大きな欠点があるのも事実だ。

ヒロインが男に嫁ぐまでと、それ以降とでは、まったく別の小説を継ぎはぎしたような違和感があるし、男のロマンと、女の生き様が、それぞれ勝手に輝いているので、1つの小説なのに、2つの小説を読まされたようなバラバラ感がついてまわるのだ。

正直なところ、面白いのだが作品の完成度は低いように思う。

が、好きな作品には違いないのだ。結局のところ「個人の本読み」にとって、大事なのは、その本が自分の心にどこまで食い込んでくるかというところに尽きるのだから。

なんだかんだ言って、何度読んでも飽きないし、何度でも読んでしまう1冊である。

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白い木蓮の花の下で
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