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新人保育士。飛ぶ。

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高校2年生の娘から「お母さんは毎日仕事辞めたいって言うけど、本気じゃないんでしょ。だって辞めないし」と言われた。私は娘に説明した。

仕事を辞めたいのは本心だけど、母は来年の3月末まで1年間の契約をしている。真っ当な社会人は契約満了まで働くものだ。なのでどんなに辞めたいと言ったとしても来年の3月末までは働く。

1年間の契約…と言っても契約を履行できない事態が発生した時は仕方がないとは思っている。例えば本人の病気療養とか、家族の介護(看病)が必要な緊急事態とか。家族の転勤でついていく必要がある…とか、そう言うところ。

だけど辞める理由が契約を履行できないようなのっぴきならない理由でもなくて「仕事に不満があるので辞めます」とか「私にしこの仕事キツイんで辞めます」みたいなことであれば、良識ある社会人なら契約満了まで働くものだ。

……と言いつつも。4月に新しく仲間入りした新人保育士は6月で職場を去った。

もともと「ゆくゆく児童発達支援管理責任者(児発管)になりたいんです」って言ってる人だったので4月の時点で「3月末までいないだろうな」とは思っていたので驚きはしなかった。

新人保育士は27歳。私は52歳。年齢差から言うと私が産んでいてもおかしくない年の差なので、私の目線は完全に母親寄りで「そりゃあ、その若さでフリー保育士は物足りないよな」と思っていたし、職場ルール的にはNGなのだけど「若い頃は色々あるよね」くらいの気持ちでいる。

ただアレだ。ひとり欠けると穴埋めが大変。急に欠けた穴は急には埋まらない。彼女に引き継いだ仕事は全部戻ってくることになってしまった。引き継ぎの時に「これ…一応、引き継ぎはするけど、けっきょく私がやるんだろうな」と思った予感は見事に的中してしまった。

今年度は通園児が激減して「暇なので辞めたい」みたいに思っていたこともあったけれど「通園児が激減したので対策をしよう」みたいな流れができたおかげで、あれよあれよと言う間に忙しくなっている。

会議に事務仕事に雑用。そして無駄に手をかけまくった行事の数々。昨年よりも圧倒的にキツイ。それなのに1人減ってしまうとなるとため息しかでてこない。

それはそれとして。今回、飛ぶ27歳の新人さんの未来が明るいものであることを心から願っている。保育士を長く続ける人って貴重な存在。「潜在保育士」って言葉があるほどに保育士資格を持っているけど保育士として働かない人が多いのだ。27歳の新人さんが、別の場所で子どもたちの支えとなってくれる事を願う。