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じい散歩 妻の反乱 藤野千夜 双葉社

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散歩が趣味の高齢男性が主人公の『じい散歩』が気に入ったので続けて続編も読んでみた。

安定の面白さで素直に楽しめたのだけど「ちょっとどうなの?」と思う部分もいくつかあった。たぶん、それは言っちゃあいけないお約束…みたいな領域ではあるのだけど。

私は前作ほど素直に楽しめなかったものの、気楽に読めるご家族小説としてはアリなのかも知れない。

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じい散歩 妻の反乱

ザックリとこんな内容
  • 前作からさらに歳を重ねて夫婦あわせて180歳を超えた新平と英子。
  • 3人の独身中年息子たちは相変わらずで自宅介護が必要になった母親の面倒を見る気配もないかった。
  • 老老介護が始まった新平の束の間の息抜きは相変わらず、趣味の散歩や食べ歩き。果たして、老夫婦の道のりは?
  • 明石家のその後を描いた家族小説。

感想

新平と英子は90代に突入してリアルに「死」が迫ってきている…と言う設定。正直、90代になったら「いつお迎えがきてもおかしくないよね」って感じだし、たとえ死んだとしても大往生の部類。さらに言うなら認知症で介護状態の英子はともかく、新平は散歩ができるくらいには元気な爺さん。都会で暮らす老人の理想的な暮らし…と言えなくもない。

前作より年を重ねた新平は前作よりも人間が丸くなった気がする。良い感じで年を重ねている印象。認知症の妻との生活も慣れてきたのか妻への配慮が出来るようになっていて、私も新平のような高齢者になりたいなぁ…と、そこに痺れる憧れる。

散歩やグルメネタは前作と同様に面白かったのだけど、新平の息子達のことについては「いや…いくらなんでもアカンでしょ?」としか思えなくて、前作ほど気楽に楽しむことができなかった。

引き籠もりで働いたことのない50代の長男、借金まみれの三男の将来は申し訳ないけど「生活保護コースでは?」としか思えなかった。別居している次男だけはしっかり生きていけそうだけど、あとの2人は本格的にヤバイ。

「これは楽しい家族小説だから、そこは突っ込んじゃいけないところでしょ?」って言ってしまえばそうなのだけど、職業柄リアル生活保護の人と関わることもあるだけに色々と余計なことを考えてしまった。

…とは言うもの、新平と英子については羨ましいと思ったし、ラストのオチも楽しくて良かった。楽しい作品ではあるけれど3冊目は出ても読みたくないなぁ…と思ってしまった。どうしても息子達にムカついてしまう気がするので。

それはそれとして『じい散歩』の続編として素直に楽しむのであれば、十分読み応えはあるし、楽しい作品なので前作が気に入ったのなら読んでみて損はしない1冊だと思う。

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