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映画『プラットフォーム』感想。

4.5
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凄い映画を観てしまった。2022年度はまだ終わっていないけれど2022年に観た映画(自宅視聴オンリーだけど)の中で最高だったと言って良いと思う。

だけど最初に書いておきたい。『プラットフォーム』は基本的にホラー映画に分類されるタイプの作品でグロ描写があるので、ホラーが苦手だったりグロが苦手な方は絶対に見ない方が良い。

ホラーとかグロ体制があって、かつ深読みとか屁理屈大好き…ってタイプの方には猛烈にプッシュしたい。

今回はネタバレを含む感想になるのでネタバレNGの方はご遠慮ください。(最重要のネタバレについては伏せておきます)

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プラットフォーム

プラットフォーム
El hoyo
監督 ガルデル・ガステル=ウルティア
脚本 ダビド・デソーラ
ペドロ・リベロ
原案 ダビド・デソーラ
製作 カルロス・フアレス
製作総指揮 ラクエル・ペレア
カルロス・フアレス
出演者 イバン・マサゲ
アントニア・サン・フアン
ソリオン・エギレオル
エミリオ・ブアレ
アレクサンドラ・マサンカイ
音楽 アランサス・カジェハ
公開 スペインの旗 2019年11月8日
世界の旗 2020年3月20日(Netflix配信)
日本の旗 2021年1月29日[2][3]

ざっくりとこんな内容

“穴”と呼ばれる場所の48層で目覚めたゴレンは、同室の老人トリマガシから「問題は何を食べるかだ」と説明を受けた。

牢獄のような部屋には中央の天井と床に四角い穴が開いており、上下にも同様の部屋がいくつも確認できる。

  • 食事は1日に1度
  • 食事は浮遊する不思議な台「プラットフォーム」に乗せられた山盛りのご馳走が天井の穴を通って降りてくる。
  • 上の層から順番に食べるため下の層になるほど酷い有様になっていく。
  • 食事はプラットフォームがある間しか許されず、手元に残すと部屋の温度が際限なく上がるか下がるかして死んでしまう。
  • プラットフォームは最下層まで到達すると上昇するが、高速すぎて飛び乗ることは不可能。
  • 1ヶ月が経つと部屋の住人2人はガスで眠らされ、階層だけが変更される。

ゴレンは自ら志願して“穴”に入り、半年間を耐え抜くことで認定証を得て、外の暮らしを有利にするつもりだったのだが…。

ありがちな脱出系ホラーと思いきや

理不尽に閉じ込められたり拘束されて、そこから脱出を試みる…と言うのはホラー映画の定番中の定番。例えば1997年公開の『CUBE』はまさにソレ。誰もが悪夢で見ていそうな…と言うか、不条理な場所から逃げ出す設定は新しいとは言えない。

脱出系ホラーの場合「世界のルール設定」が作品を面白くする鍵になる。『プラットフォーム』は「世界のルール設定」が秀逸だった。

  • 自分が生活する空間の上の階層から降りてくる食料。
  • 1ヶ月に1回、階層がシャッフルされる。
  • 脱出成功の暁には本人にとって素敵なご褒美が進呈される。

『プラットフォーム』の「穴」ルール設定はなかなか面白い。

穴では「上階の人間は自由気ままに食料をたらふく食べられるのに、下階の人間は残飯を食べて死ぬしかない」ってところは、現代社会に通じる。

世界から「死ね」と突きつけられるような人間が生き残る手段があるのか…だなんて、考えてみるだけでワクワクしちゃうよね…って話。

ホラー映画にありがちな理不尽設定

「ホラー映画だから仕方ないよね」って話だけど『プラットホーム』の世界設定は理不尽極まっている。

  • 上階から降りてくる食料。
  • 選べないルームメイト。
  • 月に1度行われる階層シャッフル。

「もし自分が同じ立場なら…」と想像してみたけれど、どうにも生き残れそうにない。初めて配置される階層によってラストまで耐えられるかどうかが大きく変わるし、ルームメイトによっては殺されしまう可能性だってある。

そして何ヶ月か耐えきったとしても、どこかのタイミングで最下層まで落とされた場合、行き続けられる可能性は限りなくゼロ。「どうして、そんな酷い目に合わなきゃならないの?」と思うけれど、ホラー映画だから仕方がない。

全員が助かる可能性?

さて。そんな不条理な世界感の中で登場人物達は希望を見出す。「上から降りてくる食料は適量を食べていれば全員に行き渡るはず」という発想。

プラットホームに乗せられた食料は贅沢なものだけど下の階層に仲間がいることを考えながら、全員が少しずつ食べていれば全員生きられるだけの食料がある…って話。だけど、上層階の人間は好き勝手に食べ散らかしてしまうので、とてもじゃないけど上手くきいそうにもない。

それでも「上から降りてくる食料は適量を食べていれば全員に行き渡るはず」理論に気づいた女性は自分が必要なだけ食べ、下の階の人にも皿に適量を取り分けて「下の階の人達にも行き渡るように食べて」と説得をはじめる。

……その結果、上手くいくはずもなかった。「そりゃそうだよね」って話だ。すべての人間が善良であるなら戦争は起こらなし世界は平和であるのだもの。「穴」は世界から隔絶された閉鎖空間だけど世界を縮小したもの…とも言えるのだ。

下の階へと降りていく決意

「穴」では上層階にいることこそ生き延びる可能性を上げる方法なのだけど、主人公のゴレンは上層階に配置された時、同室の男バハラトと共に「穴」のルールを変えるためプラットホームに乗って上層階へと降りていくことを決意する。

2人で武器を持って“プラットフォーム”に乗り、各層で食事を分配しよう…って作戦。これは上層階で食料が沢山ある状態にあったからこそ出来ることではあるものの「穴」において、下層階へと降りていくことは英断としか言えない状況。

主人公のゴレン1人なら無理そうな計画だったけれど、相棒となったバハラトはガタイの良い黒人男性で腕っぷしはなかなかのもの。可能性があるかな…と思いきや、下層に行く途中でバハラトが賢者と敬う男と出会い「最上級で食事を作る人間に“メッセージ”を伝えることが重要だ」と諭される。

ゴレン達が閉じ込められている「穴」には管理者がいて、最上階である0層には食事を作る人間がいる。彼らに対して自分達の意思を伝えなないことには世界は変わらない…って話。

そこでゴレン達は一切手付かずのパンナコッタを死守しようと決める。0層にいる料理人達が作った贅を尽くした食事はいつもすべて食べ尽くされていたのだ。だからこそ「誰も食べなかった料理がある」となると、下層にいた人間のメッセージとして伝わるのではないか…って話。

このアイデアが本当にメッセージとして0層に届けられるのかどうか…ってことについては、ここでは語らないので気になる方は是非ご自身で確かめて戴きたい。

聖書モチーフについて

『プラットホーム』は人間社会を考えさせてくれる作品であると同時に聖書のモチーフをふんだんに取り込んでいて、設定フェチの人間にはたまらんものががある。

ゴレン達がいた「穴」の最下層は333階なのだけど、3という数字は神と子と聖霊の三位一体ではないか…と考えられる。そして各層に2人が収容されているので、穴に存在する全ての人数は666人。

666という数字は『新約聖書』の『ヨハネの黙示録』に記述され、獣の数字として扱われています。有名なホラー映画『オーメン』にも「666」が刻まれていたけれど、聖書の中で666は重要な数字になっている。

「ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は六百六十六である」

『ヨハネの黙示録』13章18節

また「穴」に来た当初のゴレンは最初の頃は穴のシステムを受け入れることが出来ずプラットホームにま乗った食べ物を口にしなかったのだけど、状況を受け入れてはじめて口にしたのリンゴだった。そしてゴレンが後に相棒となるバハラトにはじめて渡した食べ物もリンゴだった。

リンゴは『旧約聖書』の中でアダムとイヴが食べた「知恵の実」として知られているけれど、リンゴを口にしたゴレンとバハラトは「知恵」があったからこそも、プラットホームに乗って下層へ降りていくことが出来た…と解釈できる。

『プラットホーム』は屁理屈をこねながら考えつつ楽しむホラー映画として素晴らしい作品だと思う。

ただ、グロ描写(カニバリズム)も含まれるので万人に向けてオススメすることは出来ないけれど、屁理屈大好きでホラー映画アリな人なら楽しめるのではないかな…と思う。

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