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映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』感想。

4.0
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『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』は2019年に公開されたアメリカのロードムービー。

施設を抜け出したダウン症の青年とザックと事件を起こして逃亡している漁師のタイラーが一緒に旅をする物語。

主人公のザックを演じたザック・ゴッサーゲン自身もダウン症でアメリカで「ダウン症の俳優」として活躍しているとのこと。実際「この俳優さんの演技はダウン症の特徴を完璧に押さえているなぁ」と感心したけど、なるほど納得。

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ザ・ピーナッツバター・ファルコン

ザ・ピーナッツバター・ファルコン
The Peanut Butter Falcon
監督タイラー・ニルソン
マイケル・シュワルツ
脚本タイラー・ニルソン
マイケル・シュワルツ
出演者シャイア・ラブーフ
ダコタ・ジョンソン
ジョン・ホークス
ブルース・ダーン
ザック・ゴッサーゲン
ジョン・バーンサル
トーマス・ヘイデン・チャーチ
音楽ザカリー・ドーズ(英語版)
ジョナサン・サドフ
ゲイブ・ウィッチャー
ノア・ピケルニー
公開アメリカ合衆国の旗 2019年8月9日(限定公開)
アメリカ合衆国の旗 2019年8月23日(拡大公開)
日本の旗 2020年2月7日

ざっくりとこんな内容

主人公のザックは老人の養護施設で暮らすダウン症の青年。ザックは「こんなところに居たくない」と思い続けていた。

ザックはテレビでプロレスを観るのが好きで、プロレスラーのソルトウォーター・レッドネックに憧れていた。そんなある日、ザックは同室の老人の協力を得て老人養護施設から脱走する。

ザックが目指した先は彼が憧れているソルトウォーター・レッドネックが運営するレスラーの養成学校。

道中でザックは逃亡中のならず者タイラーに遭遇する。タイラーは漁師だったが事件を起こして街にいられなくなったのだった。

ザックとタイラーは一緒に旅をすることになる。

最初はザックを邪魔者だと思っていたタイラーだったが、いつしかタイラーの魅力に気づき、2人はかけがいのない友人同士となる。タイラーはザックのスパーリング相手を務め、ザックの夢を叶えると約束する。

しかし、2人はザックが逃げ出した施設の看護師エレノアに追い付かれてしまう。説得の末に、エレノアも旅に同行。3人でソルトウォーター・レッドネックのプロレスラー養成校を目指す。

老人施設で生活するダウン症の青年

物語は老人施設で生活するダウン症の青年ザックが施設を脱走するところからスタートする。

「いくらダウン症だからって老人施設で生活させるのは可哀相では?」って話だけど、実のところ日本でもこの類の措置はよく取られる。私は重度障害児の施設で働いているけれど、卒業生が老人施設に入所するのを実際に見送っている。

「どこの国もあるある事例なのだなぁ…」と映画のスタートから妙に感心してしまった。

一般的にダウン症の人は人懐っこくて人から愛されやすいタイプが多いとされているけれど、ザックもまさにそのタイプ。

脱走にあたり同室の高齢男性が協力してくれるのだけど、それはザックが愛されていたからに他ならない。そして、ザックの気質はそれ以降の旅の中でも発揮されていく。

荒くれ者の逃亡漁師

ザックの相棒として旅をするタイラーは漁師なのだけど、地元で事件を起こして逃亡者となる。映画の中ではサラッと描かれていたけれど「えっ、それってガチで犯罪だしアカンヤツなのでは?」って話。

……だけど、そこのところは目をつぶらないと話がはじまらないので気にしないことに。

タイラーは最初、ダウン症のタイラーのことを邪魔者だと思っているのだけど、一緒に行動するうちにタイラーのことが大好きになって、いつしか「タイラーのために一肌脱ごう」みたいな流れになっていく。

ピュアに心を持った知的障害者に癒やされちゃう系の流れはアメリカ映画お得意の展開。実のところこの辺は特に新しくもないかな…って思った。

男子2人の好き勝手な旅

『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』の良さの本質は「いい年した男2人が好き勝手に旅をする」っててころにあると思う。たぶんだけど大泉洋の『金曜どうでしょう』が好きだった人には刺さる気がする。

アメリカでは『ハックルベリー・フィンの冒険』と較べられがちだったようだけど、ホントそれ。

汚い格好の男2人が手作りの筏に乗って川をくだり、魚を釣って腹を満たし、貪り食べたスイカの皮をヘルメットみたいにかぶってキャッキャ遊ぶ。

「そりゃあ楽しいに決まってるよね?」って展開。

アメリカの田舎の風景と男2人がキャッキャする光景を存分の楽しむ作品だと思う。途中から女性が加入するけど、女性は刺し身のツマ程度の要素だと思う。正直、あってもなくてもどっちでも良い。

アメリカとプロレス文化

ザックは憧れのプロレスラーが運営するプロレス学校に入りくたくて旅をするのだけど、プロレス文化が廃れつつある日本ではイマイチ掴めない世界観ではある。

私は子どもの頃にプロレス好きな祖母とテレビでプロレスを観た記憶はあるものの、プロレスに対して思い入れはないし、アメリカのプロレス事情も全く知らない。

それだけに『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』の中で描かれていた、草野球、草サッカーならぬ草プロレスの様子は衝撃的だった。アメリカには草プロレスしちゃうほどにプロレスが好きな人がいるのだなぁ。

今回はネタバレを避けたいので、ザックの願いが叶ったのかどうかについては伏せておくけれど、プロレス好きな人達もやはりザックの魅力にハマって協力してくれた…ってことだけは書いておく。

コロナだの戦争だのと陰気なニュースが多いだけに『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』のように気持ちの良い映画を家で観ることができるのは本当にありがたい。

実に楽しい時間を過ごさせてもらった。

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白い木蓮の花の下で
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