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映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』感想。

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『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』はナチスの暗号機エニグマの解読に貢献した数学者、アラン・チューリングの半生を描いた作品。

情報処理等の分野を勉強していた人にとっては「知っていて当たり前」って感じの人なのだそうだけど、私はこの映画を観るまでアラン・チューリングの事を全く知らなかった。

エニグマ解読のためにアラン・チューリングが開発したマシンはコンピューターの元になるものらしい。私はパソコン大好き&インターネット大好き人間だけど、コンピューターの基礎がこんな形で誕生したとは全く知らなかった。

今回はネタバレを含む感想になるので、ネタバレNGの方はご遠慮ください。

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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

イミテーション・ゲーム/
エニグマと天才数学者の秘密
The Imitation Game
監督 モルテン・ティルドゥム
脚本 グレアム・ムーア(英語版)
原作 アンドリュー・ホッジス(英語版)
製作 ノーラ・グロスマン
アイドー・オストロウスキー
テディ・シュワルツマン
製作総指揮 グレアム・ムーア
出演者 ベネディクト・カンバーバッチ
キーラ・ナイトレイ
マシュー・グッド
ロリー・キニア
チャールズ・ダンス
マーク・ストロング
音楽 アレクサンドル・デスプラ
公開 イギリスの旗 2014年11月14日
日本の旗 2015年3月13日

あらすじ

1927年、寄宿学校で不遇の日々を送っていたアラン・チューリングは学校内では「変人」として扱われていて、激しいいじめを受けていた。そんな中、チューリングは友人クリストファー・モーコムに触発され、暗号の世界にのめりこんでいく。

チューリングは同性ながらモーコムに恋心を抱くが、告白しようとした矢先にモーコムは結核で死んでしまう。

イギリスがドイツに宣戦布告した1939年、チューリングはブレッチリー・パークを訪れ、海軍中佐アラステア・デニストンの指揮の下、ヒュー・アレグザンダー(、ジョン・ケアンクロス、ピーター・ヒルトン、キース・ファーマン、チャールズ・リチャーズとともに、ナチスの暗号機エニグマの解読に挑むチームを結成する。

チューリングは協調性を欠き、ひとり暗号解読装置の設計に没頭する。

デニストンが装置の組立資金拠出を拒否すると、チューリングはウィンストン・チャーチル首相に直訴の手紙を送る。チャーチルは拠出を許可し、チューリングをチームの責任者に任命する。チューリングは実力の劣るファーマンとリチャーズをチームから解任し、新聞に難解なクロスワードパズルを載せて後任となるメンバーを選出する。

ケンブリッジ大学の卒業生ジョーン・クラークはチューリングのテストに合格するが、男性と同じ職場で働くことを両親に反対される。しかしチューリングは彼女が通信傍受係の女性職員と同じ場所で働けるよう手配し、彼女に解読装置の計画を教える。

チューリングに興味を持ったジョーンは、プロジェクトを成功させるため、チューリングと同僚の関係を取り持ち、チームを結束させることに成功。彼らの協力により、「クリストファー」と名付けられたチューリングの装置は完成したものの、ドイツ軍が暗号のパターンを毎日変えるため解読が追いつかなかった。

デニストンは期限切れを理由に装置の破棄とチューリングの解雇を命じるが、チューリングの同僚たちは総辞職をちらつかせてこれを阻止する。

そんな中、ジョーンは「親元に戻って結婚しろ」と言う両親に従って職場を去ろうとするのだが「独身じゃなくなればいい」と思いついたチューリングは彼女に求婚し、彼女もこれを承諾する。

しかし、同性愛者であるチューリングは、自分の性的指向と現実との乖離に思い悩む。

最後のチャンスとして提示された1ヶ月の期限が迫る中、チューリングは通信の傍受内容にまつわる女性職員の会話を耳にし、あることに気づく。

残念な天才と仲間達

アラン・チューリングって人はこの映画の中で「残念な天才」として描かれている。天才なのは間違いないけど、今の言葉でいうところのコミュ障。その上、自分以外の人間を馬鹿だと思っているので無礼過ぎるほど無礼な人間だった。

馬鹿と天才は紙一重と言う言葉があるけれど、まさにそれ。

そんなチューリングの良きパートナーとなってくれたのが、チューリングが出題した難関なクロスワードパズルを爆速で解いたジョーン。ジョーンはチューリングほどの天才ではなかったけれど、コミュ力と調整力に長けていた。

ジョーンは「大きな仕事をなし得るためにはチューリング1人の力では無理だ」ってことをチューリングに示し、ジョーンのおかげでチューリングはエニグマ解読のための仲間を得る。

チューリングは残念な天才ではあったけれど、仕事に真摯で悪意のない人間だったので、仲間達もチューリングに信頼を寄せるようになっていくのだけれど、あれはジョーンあってこその結果であって、チューリング1人ではどうにもならなかったと思う。

チューリングと仲間の関係は「人間は1人じゃ生きていけない」ってことを再確認させられた。

同性愛と同志愛

ジョーンの手助けによって、チューリングは心強い仲間を得て、エニグマ解読のためのマシンを作り上げていく。そんな中、ジョーンはチューリングに想いを寄せるようになるのだけれど、残念なことにチューリングは同性愛者だった。

チューリングの初恋の人クリストファーはチューリングが学生時代に他界していて、チチューリングはエニグマ解読のためのマシンにクリストファーの名前を付けている。

それなのに成り行き上、チューリングはジョーンに求婚してしまう。「同性愛者が結婚なんてしゃ駄目でしょ?」って話なのだけど、チューリングは最後までジョーンを騙しきる事が出来ず、自分が同性愛者であることをジョーンに打ち明けている。

しかしジョーンはチューリングが同性愛者であったとしても一緒に生きていくことを願う。「2人の間に性的な愛はなかったとしてもチューリングが好きだし、良いパートナーとして一緒にいたい」と言うのだ。

……ジョーンの気持ち、私には分かるような気がした。

人間関係の中で生じる愛って血の繋がりを持った家族愛や、性的な意味合いを含んだ恋愛だけではないと思う。ジョーンがチューリングに対して抱いた愛情は同志愛のようなものではなかったかなぁ。そして私は、同志愛が恋愛よりも劣っているとは思わない。

色々な形の愛があってもいいし、人を愛することはどんな形であっても尊いことだと思う。ただ、ジョーンとチューリングの場合は不幸な結果に終わってしまうのだけど。

同性愛者に対するしうち

結局、チューリング達はエニグマの解読に成功し、連合国軍はナチスドイツに勝利する。

本当ならチューリング達は英雄として讃えられるべき存在なのだけど、戦争の秘密を知り過ぎてしまったため、チームは解散。チューリングとジョーンも離れ離れとなり、それぞれの道を進むことになる。

ジョーンはチューリングは別れた後、結婚して幸せな生活を送るのだけど、チューリングは孤独の中で生きることになる。当時、同性愛は許されないこととされていて、投獄されるべき存在だったのだ。

チューリングの後半生は気の毒過ぎて「平和に貢献した英雄にこの仕打かよ!」みたいな気持ちにさせられてしまった。

戦争が技術を進歩させる

チューリング達がエニグマ解読のために作った「クリストファー」はコンピューターの元になるものらしい。戦争は人間の技術を進歩されると言われるけれど、まさにそれ。

インターネットだって、情報戦に勝つために開発されたものだと聞くし、お掃除ロボットのルンバは地雷除去装置がベースになっていると聞く。

自分達が謳歌している豊かな生活はこういうところから発展していったのかと思うと、なんだか微妙な気持ちになってしまう。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は面白かったと同時に、観終わった後に色々と考えさせられる作品だった。

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白い木蓮の花の下で