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映画『3月のライオン』感想。

映画『3月のライオン』の前後編を視聴した。

『3月のライオン』は羽海野チカの人気漫画『3月のライオン』を実写映画化した作品。漫画は2020年現在も連載中なので、映画は主人公、桐山が獅子王戦の対局で宗谷と向かい合ったところまで描かれている。

映画『3月のライオン』は前後編とも興行成績がふるわず大爆死だった…と聞いていたけれど、個人的には「コアな漫画ファンは採点が厳しいから大変だったのかな」と思っていた。

しかし実際、自分で観てみると「そりゃ爆死しますわ」と納得の出来栄え。

今回の感想は基本的にはディスっていく方向なので、この作品が大好きな方は自己責任でよろしくお願いします。

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3月のライオン(前編・後編)

3月のライオン
前編 / 後編
監督大友啓史
脚本岩下悠子
渡部亮平
大友啓史
原作羽海野チカ『3月のライオン』
製作谷島正之
竹内文恵
守屋圭一郎
製作総指揮豊島雅郎
上田太地
友田亮
出演者神木隆之介
有村架純
倉科カナ
染谷将太
清原果耶
佐々木蔵之介
加瀬亮
伊藤英明
豊川悦司
音楽菅野祐悟
主題歌ぼくのりりっくのぼうよみ「Be Noble」(前編)
藤原さくら「春の歌」(後編)

あらすじ

主人公の桐山零(神木隆之介)は中学生にしてプロ棋士デビューを果たした。

幼い頃に交通事故によって両親と妹を亡くした桐山は、一度は零の父親の友人の棋士、幸田柾近(豊川悦司)の元に引き取られ、とある事情から幸田家から出てい1人暮らしをしていた。

そんなある日。未成年であるにも関わらず、先輩達から酒をすすめられて道で倒れていた桐山は川のむこう側で暮らしている川本家3姉妹の長女・川本あかりに助けてもらう。

その事が縁で桐山は川本家との交流がスタートする。

川本家の温かくにぎやかな食卓を通して桐山は自分の場所を見つけたような気持ちになっていたが……

漫画の再現度は素晴らしかった

この作品。漫画の再現度は素晴らしかった。

漫画では感じることの出来ない人々の暮らしや気配、東京の下町の様子が丁寧に描写されていて、監督をはじめとしたスタッフが「原作を大切にしよう」としていた気持ちが伝わってきたように思う。

物語の舞台は東京なのだけど、漫画ではコマの中で主要人物しかほとんど描かれていない。しかし作品の中では人が行き交う様子なども描かれていて、主人公をはじめとした人々の生活感が伝わってくるようだった。

人物描写が酷過ぎた

「映像」と言う意味では素直に素晴らしいと思ったのだけど、人物描写が酷過ぎた。

原作者の羽海野チカは対談だかインタビューで「この作品は将棋漫画ではありません」と言い切っている。

実際『3月のライオン』は将棋と棋士をテーマにしているものの、どちらかと言うと人間ドラマに重心が置かれていて、魅力的な人物描写が人気を集めている。

ところがこの映画版。人物の描き方がペラッペラだった。

例えば桐山の義理の姉の香子。悪役キャラ的な存在で香子は原作では「鬼のように美しい」と表現されている。しかし漫画の中では、しっかり「可愛いところ」が描かれているせいか「なんだか憎みきれない女性」として仕上がっている。

ところが映画の中の香子はただの傲慢で嫌な女。人間としての可愛らしさがちっとも感じられなかった。これは役者さんの演技が悪かったのではなく、香子の可愛いエピソードが全部カットされていたから。

これは香子に限ったことではなくて「え? どうしてあのエピソード切って、こんなどうでも良いような描写入れるの?」としか思えない構成で、どの人物も残念な感じに描かれていた。

特に驚いたのは川本姉妹の叔母の美咲。美咲は銀座のママとして店を切り盛りしている……と言う設定で、竹を割ったような性格の女性。

川本姉妹は父親は不倫の果てに家を出て、母親を病気で亡くしているのだけど、作品の中で父親が帰ってくる場面がある。父親はどうしようもないクズで、失業している上に今の妻が病気になったため、妻子と共に川本家に転がり込もうとする。

映画の中で美咲は「それでも子ども達の父親だからねぇ」と受け入れる姿勢を見せるのだけど、流石に「それは無いわ~」と驚かされた。(原作には無い描写)

酸いも甘いも噛み分けた銀座の女が、愛していた妹と姪たちを不幸にした男を肯定するとか、ありえない流れ。

脚本書いた人(もしくは監督)は女性と付き合ったことないんだろうか?

女性を分かっていなさ過ぎるし、香子や美咲以外の女性も「それは無い!」と断言出来るほど酷過ぎた。

将棋場面だけは素晴らしかった

……と全力でディスっている訳だけど、将棋場面だけは素晴らしかった。

一対一のガチンコ勝負をしている感じが伝わってきて「もう将棋場面だけでいいんじゃない?」って思うほど。

この監督とスタッフは題材を間違えたんだと思う。原作者が「将棋漫画じゃない」と言うような漫画を実写映画化するべきチームではなかったのだ。

将棋漫画でも麻雀漫画でも「対局メイン」と言うか、むしろ「対局以外は恋愛もドラマも添え物」みたいな作品もあるのだから、そう言った作品を実写映画化していれば面白かったんじゃないかと思う。

映画『3月のライオン』は原作が好きな人は観ない方が幸せだと思う。ただ原作の前提を知らずに「将棋映画」として観るのならアリかも知れない。

「そら爆死するわ」と思ってしまったし、前後編に分けて前編より後編の方が格段に成績が悪いのもうなずける。原作好きからすると残念としか言いようのない実写映画化だと思った。

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