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姉の島 村田喜代子 朝日新聞出版

久しぶりの村田喜代子は高齢女性が主人公。最近、高齢者の晩年の内情を描いた作品が増えている気がするけれど、その中でも抜群に面白かったしレベルが高いと思う。

なんと言うのかな…ポッと出てきた作家さんとは格が違うって感じ。

作品に圧倒的なパワーがあって、そのエネルギーに押し切られてしまったような感覚を覚えた。村田喜代子…流石でござる。

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姉の島

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ザックリとこんな内容
  • 物語の舞台はとある離島。主な産業は漁業で女達の多くは海女として海に潜る。
  • 海女は85歳を超えると海女を引退して「姉さん方」呼ばれるようになる。物語のヒロインは今年引退したばかりの海女。
  • 引退した海女たちは、後進の若者のために潜った海の海図を作りつつ、引退生活を送る。

感想

色々と濃い作品なので、どこから説明したら良いのか難しいのだとげ、まず引き込まれるのが海女として生きる女達の生き生きした生活だった。海女の引退は85歳と言う設定なのだけど「84歳まで現役で海に潜ってるの?」って話だ。

海女は「若い頃から海水に鍛えられる」と書かれていて、海に潜ることが生きることと直結している。選択肢もない分、迷いもない。主人公の母や祖母も海女だったし、嫁も孫の嫁も海女。「海女として生きるのが当たり前」と言う設定は息苦しさと共に、潔さのようなものを感じてしまった。

引退した海女達は「倍暦」と言って、1年に2歳年齢を重ねる。「早く齢を取るってどういうこと?」って話だけど、なんと言うのかな…老人になると言うよりも年齢から開放されるイメージ。主人公は倍歴になったことをう自然に受け入れて淡々と暮らしている。

老女の生活を描いた作品と言うと芥川賞を受賞した『おらおらでひとりいぐも』を思い出すのだけど『姉の島』は強烈な方言で書かれた『おらおらでひとりいぐも』と較べると100倍読みやすいのだけど、途中で容赦なく精神世界をブッ混んでくるので100倍読み難い。唐突に精神世界をブッ混んでくれのは村田喜代子の特徴なので村田喜代子ファンなら「キターーー」って感じだと思う。

海女達が潜る海底には軍艦や潜水艦などが沈んでいて、彼女たちは海底で侍や兵隊と出くわしている。人によっては「幽霊」と捉えるだろうし、別の捉え方をする人もいるとは思う。それはホラーとしての存在ではなくて、もっとこう「普通にある」みたいな感じで描かれいてて、ちょっと訳が分からない世界だ。

ラストへの流れは猛烈に面白いので、ここでは伏せさせてもらうけれど、85歳を越えた海女とは思えない行動に圧倒された。ラストの流れは村田喜代子の独壇場って感じ。他の作家さんでは表現出来ない世界だと思う。

久しぶりに骨太な作品を読んで満足した。村田喜代子の作品はこれからも追いかけていきたい。

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白い木蓮の花の下で
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