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おっぱい先生 泉ゆたか 光文社

泉ゆたかの作品を読むのは『髪結百花』『お師匠さま、整いました!』に続いて3冊目。今までの作品が時代ものだったので、なんとなく時代小説ばかり書く人かと思っていたけど、そうでもないみたい。

『おっぱい先生』は現代物で、母乳育児の指導をする助産師さんが主人公の物語だった。

髪結百花』にしても『お師匠さま、整いました!』にしても時代物にしては現代的な感覚があるように思ったので、もしかしたら泉ゆたかは時代物よりも現代物の方が向いているのかも…なんて思ったりする。

おっぱい先生

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ザックリとこんな内容
  • 物語の舞台は母乳外来を設けているみどり助産院。
  • 4人の母親を主人公にした4つの短編集からなる連作物。
  • 家庭環境も異なる4人の母親たちが、おっぱい先生と出会うことによって救われていく。

『おっぱい先生』は母子手帳と一緒に配布しても良いんじゃないかと思うほどの良書だった。初めての出産に挑む女性には特に。

自分が娘を産んだ時のことを思い出して「この本、母乳育児に四苦八苦している時に読みたかった」と、しみじみ思った。

  • 女性なら子どもを産めば母乳が出るのは当たり前
  • 赤ちゃんは本能があるから生まれてすぐ母子を飲む

一般的に、人工栄養(哺乳瓶)で赤ちゃんを育てるよりも、母乳で育てる方が楽ちんで良いと言われている。

私も自分が出産するまでは「誰でも出来るもの」だと思ってたのだけれど、実際にやってみると、なかなか上手くいかなくて四苦八苦した。「赤ちゃんは本能があるから生まれてすぐに上手に母乳を飲んでくれるもの」と思っていたのに実際はまったく違っていた。

よくよく考えてみれば、赤ちゃんも母親も初めての経験なのだから、上手に出来なくて当たり前なのだけど、当時の私はそんな風には思えなくて、上手に母乳を飲ませられないことに絶望した。

そして絶望に拍車をかけたのが古い考え方の助産師、保健師、看護師の存在。

人類史の進歩と共に育児の常識も日々アップデートしていると言うのに、驚くほど古い知識でもって母親の指導をしている助産師、保健師、看護師の多いことと言ったらない。そして、新米の母親達の中には古い知識を押し付けられて「母親失格」のレッテルを貼られて絶望したりするのだ。

私自身、娘が乳幼児の頃は子育てに四苦八苦したクチなので『おっぱい先生』に出てくるエピソードは、どれもこれも心に染みた。

私もおっぱい先生こと、みどり先生の母乳外来に通いたかった人生だった。

……などと言う自分語りはさておき。

これから母親になる女性、子育て現役中の女性に是非読んで戴きたいと思う。

登場人物がいい人過ぎる感はあったけれど、そこは目をつむって欲しい。子育てに疲れ果てている時に読むのであれば、あれくらいで丁度良い気がするのだ。

髪結百花』や『お師匠さま、整いました!』と言った時代物も悪くはないけど、泉ゆたかは断然、こっちの路線の方が生き生きと書けている気がする。

泉ゆたかの次の作品に期待したい。

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白い木蓮の花の下で
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