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木になった亜沙 今村夏子 文藝春秋

お久しぶりの今村夏子。コロナの影響で長らく図書館が休館していたのだけど、ようやく再開したので予約本を取りに行ってきた。

前回『父と私の桜尾通り商店街』を読んだ時「もしかすると今村夏子は短編よりも長編向きなのかも知れない」と書いたけれど、今回は短編でも気に入ってしまった。

『木になった亜沙』を面白く感じたのは単純に私の好みに合っただけなのか、今村夏子が進化したからなのかはよく分からない。

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木になった亜沙

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ザックリとこんな内容
  • 3つの短編からなる短編集。表題作『木になった亜沙』『的になった七未』『ある夜の思い出』を収録。
  • 不条理とも言える大人のファンタジー集。
  • 3作品とも主人公は不思議系の女性。

感想

今村夏子は人によって好き嫌いがカッチリ分かれる作品を書く人だけど、今回はそれが極まっていた。

3つの作品はどれもこれもファンタジーなのか現実なのかは分からないような描き方をしているけれど、主人公達は「精神疾患を患っている人」みたいな感じに描かれている。実際『的になった七未』など、主人公の七未は精神疾患者として入院している。

3つの作品を読んでいて、ふと「小川洋子っぽいよなぁ」と思ってしまった。小川洋子を100倍下衆く陰湿にした感じ。小川洋子の主人公は「特別な私」だったり「選ばれし者」だったりする訳だけど、今村夏子の主人公は「もしかしたら私かも知れない」と思わせてくれる感じがあって、そこが良い。

今村夏子の作品は親近感があるという意味では小川洋子以上に面白いと思うし、読者に添っている…とも言えるのだけど、とにかくエグいし不条理で読後感が良くないのだ。小川洋子のハートフル系の作品が好きな人はノーサンキューだろうし、小川洋子の残酷系の作品が好きな人ならアリだと思う。

3作品とも面白かったけれど特に『的になった七未』のドッジボールの描写が心に残った。

ドッジボールは日本人が小学生になったら避けては通れない通過儀礼のようなもの。どこの学校でも行われている遊び(競技)から、あんなドラマを作ってしまうとは恐れ入った。想像するだけで怖いし気持ち悪いエピソードで、嫌な感じだけど一生忘れられない気がする。

毎度ながら読む人を選ぶ1冊だけど、私は芥川賞を受賞した『むらさきのスカートの女』よりも気に入った。今村夏子の次の作品が出たら是非読みたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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