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映画『妻への家路』感想。

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サンザシの樹の下で』のチャン・イーモウ監督が文化大革命をテーマに描いた作品。

前知識無しで題名だけでなんとんなく視聴。

題名から想像して夫婦の絆とかそう言うところにスポットを当てた作品なんだろうな~と予想して観たのだけれど、想像以上にメロドラマで私の好みではなかった。

ただツボにハマれば凄く良い作品だと思う。

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妻への家路

妻への家路
タイトル表記
繁体字 歸来
英題 Coming Home
各種情報
監督 チャン・イーモウ
脚本 ヅォウ・ジンジー
原作 厳歌苓 『妻への家路』
製作 チャン・シャオ
製作総指揮 デヴィッド・リンド、パン・リーウェイ、シャン・ドンビン、フアン・ズィエン、ギリアン・ジャオ、シャン・バオチュエン、カレン・フー
出演者 チェン・ダオミン
コン・リー
チャン・ホエウェン
音楽 チェン・チーガン

あらすじ

文化大革命中の中国が舞台。

主人公は教師として働く婉玉。娘の丹丹はバレエに励んでいる。夫の焉識は文化大革命により右派分子として追放中。

丹丹は「革命模範バレエ 紅色娘子軍」の主役に決まりそうだったが父から母と駅で会いたいという連絡受ける。丹丹は婉玉に父に会わないよう頼むが婉玉は娘よりもっとを選ぶ。

駅には追っ手が来ていて婉玉の目の前で父親は捕まる。丹丹は逃亡犯の娘ということで主役から外される。

1977年、文化大革命が終わって追放されていた焉識が20年ぶりに帰宅する。しかし、妻である婉玉のようすがおかしい。

なんと過度のストレスから夫のことを全く忘れていて、夫のことを方という男と間違える。党員も含めて説得にあたるが、思い出してくれない。

丹丹はバレエを諦め、家を出て紡績工場の寮に住み、焉識は守衛室の隣で暮すことになる。

焉識は妻の側に寄り添うようにして、何年も妻に尽くし、妻の記憶が戻るのを待つが…

感想

文化大革命が吹き荒れていた頃の中国が舞台。バレエを習っている娘と教師の母が暮らしているところから物語がはじまる。

父親は文化大革命により追放されている状態。娘は『革命模範バレエ 紅色娘子軍』の主役に決まりそうだったのだけど、父親の事が原因で主役を外されることになる。

文化大革命が終わり父親は罪を解かれ20年ぶりに妻子のもとに帰ってくる。

しかし妻は過度のストレスから記憶障害を起こしていて夫の記憶を失っていた。

夫は粘り強く妻に働きかけ、寄り添っていくのだけれど何年経っても妻の記憶は戻ることなく妻は帰らぬ夫を待ち続ける…と言う流れ。

文化大革命によって引き裂かれた家族の姿や夫婦愛等がテーマになっているのだけど、個人的にはどうにも好きになれなかった。

その原因は妻(母)のどっちつかずな態度。

難しい立場に立たされていたのは理解出来るけれど「娘を選ぶか、夫を選ぶか」と言う場面でどちらも選ぶ事が出来ず結果的にはどちらも不幸にしているし、自分自身も記憶障害になって人様のお世話になる始末。

悲劇のヒロインとして描かれているのだけれど、同じ女性として「家族のために腹くくっていけや」みたいな気持ちにさせられてしまった。

優しくて優柔不断なのは罪だと思う。

しかし妻(母)を演じたコン・リーは吉永小百合張りに美しい人で「美人だから許す」と思ってしまう人がいるだろうな…と言う事は容易に想像出来る。

ハリウッドにはいないタイプの女優さんで実に美しい。儚げ美人としてはトップクラスではないかと思う。

また娘役を演じたチャン・ホエウェンも素晴らしく可愛らしい。このままNHKの朝ドラヒロインに持ってきたいくらいに健気可愛い。

この映画を観て思ったのは「もしかして私、チャン・イーモウの映画と相性悪いのかな?」ってこと。

前回観た『サンザシの樹の下で』も素直に楽しむことが出来なった。

たぶん彼の描くメロドラマ的世界についていけないのだと思う。チャン・イーモウ監督作品の中では初期に絶賛された『あの子を探して』は大好きな作品。

ついあの感動を求めてしまいがちなのだけど『あの子を探しては』は子どもが主人公の色恋無しの作品なので『サンザシの樹の下で』やこの作品とは随分と雰囲気が違うのだ。

作品の好き嫌いはさておき、文化大革命がテーマの映画を観るたびに「文化大革命下の中国に生まれなくて良かった…」と思ってしまう。

世界には文化大革命以外にも似たような圧政が敷かれていた国(時代)があった訳だけど、今の日本に生まれて良かったとつくづく思う。

個人的には好きになれなった作品だけど、吉永小百合系の女優さんが好きな人には是非観ていただきたい。

コン・リーの美しさは圧倒的なのでそれを鑑賞するだけでも価値のある作品だと思う。