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四月、不浄の塔の下で二人は 平山瑞穂 中央公論新社

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カルト教団の中で「王女」として育てられた少女が現実社会に出て成長していく物語。

物語の冒頭部では「これって、ファンタジー設定?」と思わせるような形で進められるのだけど、少しずつ真実が明かされいてく作りになっている。

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四月、不浄の塔の下で二人は

消息を絶った兄を連れ戻すために「免穢地」を出立した「エンノイア」。

新興宗教教祖の娘として純粋培養された少女は、小さな町工場に勤める「泥人」の青年らとかかわることで少しずつ変わっていく…。

多彩な作風で幅広い読者を持つ気鋭の作家・平山瑞穂が描き出す、異色のラブ・ストーリー。

アマゾンより引用

感想

厨二病的タイトルから想像がつくと思うのだけど、まぁ内容もそんな感じではあった。ラノベだと覚悟して読めばけっこう面白い。

ただ作者の力量が足りていないように思った。このテの作品を読ませるにしてはテンポ悪い。

ヒロインの正体はあそこまで隠す必要はなかったと思うし「ボーイミーツガール」はもう少し早い段階ですべきだった。エンタメ小説としては致命的な欠陥だと思う。

平山瑞穂の作品を読むのは3冊目だけど、平山瑞穂は基本的に「悪者」を書くのが苦手なのだろうか?

登場人物は今回もやはり善人ばかりだった。

こういう世界観も悪くはないと思うのだけど、カルト教団なんていう特殊な舞台を持ってきたからには、人間の黒い部分を描いていく覚悟は必要だったのではなかろうか。

特殊な環境の中で育ったヒロインが現実世界に触れることで成長していく過程は読んでいて気持ちよかったし、登場人物達もそれぞれに好感が持てた。

部分、部分だけをと取り上げていけば悪くないのだけれど、作品としてはイマイチとしか言いようがない。色々と残念な1冊だった。

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