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お父さんのバックドロップ 中島らも 集英社文庫

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久しぶりに「ツボ直撃」の1冊だった。

中島らもの書く男性って、どうしてあんなにも素敵なんだろう。愛おしくてたまらない。

大人だから「大人たらん」と頑張っていて、そのくせ大人なのにヤンチャな心を捨てきれない…不手際なお父さん達が、この上なく愛しく思われた。

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お父さんのバックドロップ

ザックリとこんな内容
  • 短編4つからなる短編集
  • テーマは「お父さん」。
  • ロックンローラー、落語家、究極のペットを探す動物園園長と魚河岸の大将…と言った個性的なお父さん達が活躍する。
  • 中島らもにしては比較的真面目な感じかも。
  • 表題作『お父さんのバックドロップ』は映画化されている。

感想

短編4つからなる短編集なのだが、どの作品もそれぞれに面白かった。

中でもお気に入りだったのは『お父さんのカッパ落語』。考え性で、神経が細かくて、やさしすぎた男が、その性分が重荷で「笑い」に生きる……というくだりは最高過ぎる!

子供の前では親を叱らない師匠の心遣いも素敵だった。そして、そんな師匠の悪戯も微笑ましかったし。

自分自身の支えになったのは『お父さんのロックンロール』。

これもテーマは「笑い」と「悪戯」だと思う。人が生きていくうえで「笑い」は必要不可欠だと思う。しかめっ面をしていたって、良いことは何1つありゃしないのだ。

キャベツのエピソードは「私もそんな機会があれば絶対に真似をしよう」と堅く決意したほどに、やられてしまった。

めずらしく弟にも「これ絶対に面白いから騙されたと思って読んでみて」と押し付けたのだが、彼もキャベツのエピソードにはハマったらしい。ネタバレを書けないのが残念でならない。「ぜひ、騙されたと思って読んでください」とだけ書いておきたいと思う。

なんだかんだ言って、中島らもは私にとって特別な作家なのだと思う。

どうしようもなく駄目で、馬鹿なくせに、その本質は恐いくらいに真面目なところが、たまらなく好きだ。笑いを愛し、人間を愛していたところも。

この本は私にとって生涯の友になると思う。中島らもの他の作品の感想も読んでみる

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