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生のみ生のままで 綿矢りさ 集英社

『生のみ生のままで』は綿矢りさが初めて「女性同士の恋愛」を描いた作品。「えっ?綿矢さんって同性愛者だったの?」と、正直困惑してしまった。

綿矢りさのセクシャリティをどうこう言うつもりはないのだけれど「当事者でないとしたら、想像だけでどこまで描けるか?」ってところは気になった。

綿矢りさは今まで「等身大の恋愛小説」を売りにしてきた人なので、やっぱりちょっと引っ掛かってしまうと言うか。

……とは言うものの、読まずにどうのこうの言うのはフェアーではないので手に取ってみたのだけれど、私の好みではなかった。

あまり良いことは書かないので、綿矢りさが好きな方は読まない方が良いかもです。

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生のみ生のままで

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あらすじ

女同士の愛を描いた恋愛小説。

逢衣は恋人との旅行先で、恋人の幼馴染とその彼女である彩夏と知り合う。

芸能人である彩夏は恋人とのお忍び旅行中たった。

最初はツンケンした態度だった彩夏にウンザリしていた逢衣だったが、一緒に行動するうちに打ち解けてゆき、帰る頃にはメールを交換する仲になる。

東京へ帰った後、逢衣と彩夏は急速に親しくなっていった。

逢衣は恋人との間に結婚の話が持ち上がるのだが、とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。逢衣は結婚間近だった恋人と別れ、彩夏と生きていくことを選ぶ。

逢衣と彩夏は同棲をはじめ、幸せな生活を送っていたが、2人を引き裂く事件が起こってしまう。

感想

読みやすい文章でサクサクとイッキ読みしてしまった。女性らしい美しい文章で文章自体はかなり好きだ。

特に書き出しが美しい。

青い日差しは肌を灼き、君の瞳も染め上げて、夜も昼にも滑らかな光沢を放つ。静かに呼吸するその肌は、息をのむほど美しく、私は触れることすらできなくて、自らの指をもてあます。

書き出しを読んだだけで「ああ…恋愛小説なんだな。ちょっとエロっちい感じの」って事が十分理解出来る。中山可穂や松浦理英子ほど濃厚ではなくけれど、これはこれで嫌いじゃない。

ただ、肝心の物語に全く説得力が無かった。

ヒロインた達は2人もお互いが出会うまで同性愛者だと言う自覚はなく、そのうちの1人は結婚直前の恋人がいる設定。

そんな2人がいきなり恋に堕ちて、婚約者を振り切って同棲をはじめる…って、ちょっと難しくないだろうか?

「恋ってそういうものだから仕方ないでしょ?」と言われてしまえばそうなのだけど、平凡な結婚生活を望んでいた逢衣が彩夏を選ぶまでの過程が雑な気がした。中高生の恋愛ならアリな気がしたけど、大人の恋としてはどうなんだろうか?

芸能人の彩夏は毒親育ちと言う設定で、メンヘル気質があるものの、松浦理英子が好んで描いてきたようなぶっ飛んだ女ではない。

なんと言うのかな「そりゃ、こんな女性に誘われたら、女は断れませんわ…」ってタイプのヒロインなら良いのだけど、まったく説得力がないのだ。

まぁ…女性の筆なだけあって、性描写は美しいのだけど、性描写を読みたい訳じゃないんだなぁ…。

紆余曲折を乗り越えて、一応ハッピーエンドってことになっているのだけど、大人目線で見ると「この子達、なんか幸せになれそうにもないんだよね…」ってところがスッキリしない。

なんと言うのだろうなぁ。手に手を取り合って「一緒に生きようね」と決めた2人なのに、覚悟とか強さを感じられないのだ。

いっそ中山可穂方式で「もしかしたら破滅するかも知れないけど、2人は行き着くところまで一緒にいようと決めたんだぜ」みたいな感じで、切りっ放しの投げっぱなしで終わった方が良かった気がする。

  • 女同士のキャッキャウフフの恋が描きたかったのか?
  • 女同士の性描写が描きたかったのか?
  • 女同士の恋の葛藤が描きたかったのか?
  • 性的マイノリティーの人達の恋愛問題が描きたかったのか?

……テーマがブレブレなのだと思う。どれもこれも、とりあえず詰め込んでいるけれど消化不良になっているのだ。

もしかすると私が期待して読んでしまったのが悪かったのかな…とも思う。女性同士の恋愛を描いた雰囲気小説として読むならアリなのかも知れない。

綿矢りさの新境地…とのことだけど、残念だけど、この路線はもういいかな…と思ってしまった。

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白い木蓮の花の下で
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