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箱の中の天皇 赤坂真理 河出書房新社

2019年4月30日。天皇陛下が退位されるのに合わせて読むに相応しい1冊。
この作品『箱の中の天皇』のテーマは「象徴としての天皇」。
日本の天皇制については、人それぞれに意見があると思うのだけど、右だの左だのと言った面倒臭い話をするつもりはない。
テーマがテーマなだけに、避けては通れないところではあるけれど「文学作品としての面白さ」だけについて感想を書こうと思う。
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箱の中の天皇

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ザックリとこんな内容
  • 主人公マリ(作者を投影した人物?)は、母と横浜のホテルニューグランドを訪れる。
  • 深夜に目覚めたマリは、マッカーサーの幽霊が電話で昭和天皇を部屋に呼び出しているのを目撃する。
  • 翌日。マリはメアリと名乗る女性から2つの箱を託される。1つは本物。もう1つは偽物。
  • マリは偽物をマッカーサーの持つ本物の箱とすり替える任務を尽くされ、物語がはじまる。
『箱の中の天皇』については、ミステリ作品と言うことで、ネタバレは避けたいのだけど、本の帯や宣伝当でバレているところは良いだろう…的な観点でざっくりした内容をご紹介しました。

感想

『箱の中の天皇』は一応、小説と言えば小説形式なっているものの、物語の前半と後半では随分と様式違っていて、前半はドラマ性が高く、後半は議論と考察って感じになっている。

  • 箱の中身は何なのか?
  • 天皇の存在とは何なのか?
  • 象徴天皇とは?

もうすぐ退位される今生天皇(令和に突入した現在は上皇様)とのやり取りも入っていたりするのだけれど、どこまで言っても「作り話としての小説」でしかない。そのため、読者はあくまでも「作り話」として読む必要があると思う。

歴史小説等、実在の人物をモデルにして小説を書くと「小説の登場人物=本人」と錯覚してしまう事があるけれど、あくまでも「小説家が作った人物像」でしかない。

この作品に登場する今生天皇(令和に突入した現在は上皇様)の場合、ご存命であるにも関わらず、あたかも本人がそう言う気持ちでいるかのように書いてある事に「度胸あるなぁ」と感心してしまった。

私が面白いと思ったのは「箱」の設定と「象徴」の考え方。

ネタバレになるのが伏せておくけど、クソ真面目な話なのに設定はホラー的と言うか、ファンタジー的でヲタク心を軽くくすぐる。

かつて厨二病を患った人なら、この類の設定で色々妄想しちゃった人もいるんじゃないだろうか?

大人向けの作品でこう言う厨二病的設定を使うだなんて凄い発想だと感心した。

本の題名からしても、表紙からしても「なんだか難しそう」と言う印象を受けてしまうけれど、読みやすい文章なので、けっこうなスピードで読む事が可能。

テーマがテーマだけに、議論したくなる人もいるかも知れないけれど、むしろエンタメ小説として楽しんだ方がいいんじゃないかと思う。

面白く読ませてもらったけれど、ネタで勝負している作品なので何度も読み返したいとまでは思わない。

時流に乗ったホットな作品なので、興味のある方は退位の礼合わせで読んでみてもいいんじゃないかな…と思う。

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白い木蓮の花の下で
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