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おもかげ 浅田次郎 毎日新聞社

浅田次郎の作品を作品を読むのはもしかしたら10年ぶりくらいかも知れない。

浅田次郎と言えば『鉄道員』が出世作ってイメージの人が多いと思うのだけど、私は『プリズンホテル』のシリーズで思い切りハマった。

随分と前に読んだのでサイトにはあまり感想を書けていないけれど、初期に発表されたエンターテイメント系の作品はほとんど読んでいると思う。

ここ最近は「時代小説を書く作家」って感じになっていたので敬遠していたのだけど、『おもかげ』は『椿課長の七日間』や『地下鉄に乗って』に近いスタイルの作品だと聞いたので、手に取ってみた。

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おもかげ

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ザックリとこんな内容
  • 商社マンとして定年を迎えた主人公、竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれる。
  • 竹脇正一は生死の境を彷徨いながら、自分の過去にまつわる不思議な体験をする。

感想

主人公は孤児院(今で言うところの養護施設)の出身。苦学して大学に入学し、エリートコースを歩いてきた。

結婚して子どもにも恵まれ、パッと見でだと成功者なのだけど、人には言えない苦労をしていて、物語が進むごとに主人公の人生が浮きがあってくる方式になっている。

竹脇正一のような「古き良き日本人」が描けるのは浅田次郎が最後なのかも知れないな…なんて事をふと思った。

真面目で実直で辛抱強い日本人。良し悪しはともかくとして、確かに昔し竹脇正一のような日本人がいたのだと思う。

作品の中で心に残った一節がコレ。

カッちゃんが痩せた背を向けた。

「昔ァ、知らねぇ顔だって背中を流し合ったものだったが、いつの間にか自分自分になっちまったなぁ」

自分自分。懐かしい言葉である。他人に手を貸し、また他人の手を借りるのが当たり前の時代には、そんな言葉があった。

「自分自分」と言う言葉を目にしたのは私も久しぶりだった。

私が子どもの頃は大人達が、子どをたしなめる時に使っていたように思う。今は「人に迷惑をかけない」って事の方が重要視される世の中になっていて「自分自分」なんて言葉を使う人はいなくなってしまった。

この作品の登場人物達は善人ばかり。

すごく良い話だし、物語の展開も素晴らしいとは思うものの、ちょっと違和感があるのも事実だ。心温まる系の物語を素直に読めなくなったのは、私の心が汚れてしまったからだと思う。

酷い育ちをした人や、苦労した人が立派大人になって「辛い事を経験したから優しくなれる」みたいな展開は理想的だな…とは思う。

ただ、テレビを付けると虐待やイジメ、煽り運転等、嫌なニュースばかりが飛び込んでくるこのご時世に読む浅田次郎の世界はファンタジーとしか思えないのだ。

間違いなく良い話だし「流石は浅田次郎だなぁ。ちっとも衰えていないなぁ」と感心させられたものの、イマイチ物語に入り込む事が出来なかった。

私は入り込む事が出来なかったけれど、良い作品だと思うし「心温まる話が読みたいんだ」と言う時に読むと良いんじゃないかな…と思う。

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白い木蓮の花の下で
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