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ゼロの焦点 松本清張 新潮文庫

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恥ずかしながら。私(52歳)。趣味は読書と言いながら、今の今まで松本清張の小説を1冊も読んだことがなかった。そもそもミステリ小説とか殺人事件に興味がないので「読んでみよう」と思ったことがなかったのだ。

今回『ゼロの焦点』を読んだのは新庄耕の『地面師たち』が面白過ぎたから。

ふと「みんなが絶賛する推理小説は面白いんだろうな…松本清張とか」なんて気持ちになったのだ。松本清張の小説は何度もドラマ化(映画化)されていて、日本人なら知っておくべき…みたいな感じがするのに、読んだことがないのもアレだな…と。

『ゼロの焦点』は映画もドラマも見ていない真っ白な状態で挑んだ。

今回の感想は定番ミステリってことでネタバレが含まれます。ネタバレNGの方はご遠慮ください。

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ゼロの焦点

ザックリとこんな内容
  • 禎子はお見合いで広告代理店に勤める十歳年上の鵜原憲一と結婚した。
  • 結婚当初、憲一は金沢で働いていたが本店勤めの辞令が下りたため、新婚旅行から戻ってすぐに、引き継ぎのため、前任地の金沢へ旅立つ。
  • 一週間の予定をすぎても戻らない夫を探しに禎子は金沢へ足を向けた。
  • 北陸の灰色の空の下で行方を尋ね歩く禎子は夫の知られざる過去をつきとめる。

感想

当たり前の話だけど「なんか、めちゃくちゃ古臭いな」と思ってしまった。

純文学系の小説の場合、昭和初期どころかもっと古い作品でも「時代は違うけれど人間の考えることは同じだし、なんか分かる」と受け取めることができるのだけど、ミステリ小説って純文学と違って進化しているのだな…ってことを感じずにはいられなかった。

テンポの悪さもそうだし、ネタバレのやり方もそう。スピード感のある現代のミステリしか知らない私にとって『ゼロの焦点』は正直、退屈だった。

ただ『ゼロの焦点』が松本清張の代表作として絶賛される理由は理解できた。社会派ミステリーと言うのかな?社会問題に切り込みつつ、社会的弱者に気持ちを寄せつつ書かれたミステリ作品ということで、人の心を掴んだのかな~と推察する。

戦後の混乱期に娼婦(パンパン)として生きるしかなかった女性の悲哀がベースになっているので気の毒な話ではあるものの「だからって人を殺して良い訳じゃないからな?」と思ってしまうのは私が現代に生きる人間だからだと思う。

それにしても新婚早々(しかも見合い結婚で相手のことをよく知らない)に夫が行方不明になって実は殺されていました…って設定はなかなか酷い。ヒロインの禎子は粛々と事実を受け止めて真相に迫っていくけれど、あんなに冷静に対処できるものだろうか?

松本清張って作家は凄い人だったんだろうな…と察することは出来たものの、正直イマイチ楽しめなかった。

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