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恋愛詐欺師 岩井志麻子 文藝春秋

恋愛ネタと、心霊ネタばかりを寄せ集めた短編集だった。有体に言うなら、まごうこさなくB級本だと思われる。ツマラナイと言うつもりはないのだが、面白い作品と、、そうでない作品の落差が激しすぎるのだ。猿夢中で読める作品もあるのに、読み飛ばしてしまいたい作品もあった。ある意味において編集者に喝采を送るべきかも知れない。

表題作の『恋愛詐欺師』は「流石」と思った。女性の醜さが描ききれていると言っても過言ではない。女性の醜さを鮮やかに描いた作品は、嫌悪を感じることが多いのだが、この作品については、天晴れ過ぎて感服してしまった。

しかしながらベトナム人の恋人との逢瀬を描いたイマイチ過ぎた。この1冊に収録されている作品が云々……と言うよりも、同じネタを使いまわし過ぎなのだ。言っちゃぁ悪いが、同じシュチュエーションでは何度も読まされていて「お腹い一杯」なのだ。読者はお金を払って本を買っているのだから、ちゃんとした新作を提供してもらいたいと切望する。これは作家に対する欲望ではなく「ギブ&テイク」の関係で結ばれたビジネスパートナーとしての要望だ。お金を払って買うことを厭いはしないが、その分だけの見返りも提供してもらいたい……と思うのだ。

才能の枯渇……とまでは言いたくないが少なくとも加齢によるネタの古さや時代についていけない度はあるのかも知れないと思った。なにげに「ダサイ」のだ。なんだかんだ言って好きな作家さんなだけに口惜しい。セックスを書くのが悪いと言うわけじゃない。ただ、書くなら「ちゃんと書いてよ」と思う。酔わせてくれて、満足させてくれるのであれば、作者の人となりが破綻していたってかまわない……というのが読者の本音ではあるまいか。

そこそこハマった作品もあったのだが総評としては低い点数を付けざるを得ない作品ばかりで、いささかガックリした1冊だった。

恋愛詐欺師 岩井志麻子 文藝春秋

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