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我が友、スミス 石田夏穂 集英社

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『我が友、スミス』は第166回芥川賞候補作。残念ながら候補に上がっただけで受賞には至らなかったけれど「知らない作家さんの作品だし、読んでみるか」くらいの気持ちで予備知識ゼロで手に取った。

普通のOLがボディビル大会に挑戦する物語で「スミス」とは人の名前ではなくて、トレーニングマシンの名前だった。

特に期待せずに読んだのだけど、予想外に面白くてイッキ読みしてしまった。

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我が友、スミス

ザックリとこんな内容
  • 主人公のU野は筋トレに励むパッとしないOL。
  • Gジムで自己流のトレーニングをしていたが、O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。
  • ボディビルの大会で結果を残すためには筋肉だけでなく「女らしさ」も鍛える必要があった。
  • U野の努力の甲斐あって身体は仕上がっていくのだが……

感想

『我が友、スミス』猛烈に面白かった!

なんて若々しくて勢いのある文章なんだろう。テンポが良くて勢いがある。イッキ読みさせてくれるだけの力があった。

物語のテーマは筋トレ。ここ数年、筋トレはちょっとしたブームになっていて、体育が苦手で陰キャな私も自宅で軽い筋トレをしてみたりしている。

主人公のU野は真面目な性格のパッとしないOL。筋トレと出会ったことでU野の人生が変わっていく。

ボディビルの大会って言うと、ムキムキの男達が「ナイスポーズ」とか「ナイスバルク!」とか「仕上がってるよ!」みたいな掛け声と共に日焼けしてテカテカな身体でポーズをキメる…みたいなイメージがある。

『我が友、スミス』を読むまで知らなかったのだけど、女性のボディビル大会の場合は筋肉だけでなく「美しさ」も評価点に入るらしく、髪型やメイク、お肌の調子なんかも採点されるそうだ。(大会によって規定は違うようだけど)

『我が友、スミス』を読んでから、女性のボディビル大会を画像検索してみたけれど、確かに髪型からメイクからキメキメに決まった女性の画像がずらりと並んでいて「こりゃ大変だな」と感心してしまった。

さて。『我が友、スミス』のヒロインU野は筋トレに出会うまで「パッとしない人生」を送っていた。ところが筋トレと言う夢中になれるものに出会ってから、U野の人生が変わっていく。

U野は根本的に真面目な人間なので筋トレと真摯に向き合って、変わっていく自分の身体を愛するようになるのだけれど、ボディビル大会への出場が決まってからは「ボディビル大会では筋肉だけでなく、女性らしさも求められる」と言う部分で心の中で違和感を抱くようになる。

「別の生き物になりたい」と切望して筋トレに励んできたU野はボディビル大会の本番でとんでもない行動に出るのだけど、それについて気になる方は自分自身で『我が友、スミス』を読んで戴きたい。

石田夏穂の作品は初めて読んだのだけど、次回作が楽しみ過ぎる!

『我が友、スミス』の勢いは、ネタと作風が合致して「たまたま」出来たものなのか、それとも彼女の実力なのか。石田夏穂の真価が問われるのは次回作以降だと思うので、絶対に読もうと決意した。

とりあえず『我が友、スミス』は勢いがあって、読んでいて気持ちの良い作品なので気になる方は是非読んで戴きたい。

追記。『我が友、スミス』。図書館で借りるも気に入ったので購入して再読。再読して気が付いたのだけど、石田夏穂のノリは姫野カオルコのノリと似ている気がする。特に初期に姫野カオルコ。

愛すべき不器用なお馬鹿さんの描き方が上手いんだなぁ。

なので姫野カオルコが好きな人なら楽しめるのではないかな…と個人的に思う。あくまでも個人的レベルだけど。

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