『皇帝ペンギン』は動物行動学の研究者のリュック・ジャケ監督が、3人の仲間と極寒の南極で8880時間かけて撮影した作品。
皇帝ペンギンの生態を描いたドキュメンタリー映画なので、ドラマとかあらすじはあって無いようなものだけど、動物好き&ペンギン好きの方には全力でオススメしたい。
数年前に観たのだけど、ケーブルテレビで放送していたので数年ぶりに再視聴してみた。
皇帝ペンギン
皇帝ペンギン | |
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La Marche de l’empereur | |
監督 | リュック・ジャケ |
脚本 | リュック・ジャケ ミシェル・フェスレール |
製作 | イヴ・ダロンド クリストフ・リウー エマニュエル・プリウー |
ナレーター | ロマーヌ・ボーランジェ シャルル・ベルリング ジュール・シトリュク |
音楽 | エミリー・シモン |
撮影 | ロラン・シャレ ジェローム・メゾン |
公開 | 2005年1月26日 2005年7月16日 |
あらすじ
作品の舞台は平均気温マイナス40℃の南極。
三月。海で暮らしていた皇帝ペンギンたちは海中から飛び出し、100キロ先にある生誕の地オアモックへ、最初の行進“キャラバンの長い行進”となって歩きはじめる。
オアモックに到着した皇帝ペンギンたちは、岩に守られた一番安全な場所でパートナーを見つけ子作りにいそしむ。
……3ケ月後。産卵を終えた母ペンギンは、これから生まれるヒナと自分の命の糧を求めて、再び100キロ近く離れた海へ旅立っていく。
母親がいない間、卵は父ペンギンがを温めるのだが、受け渡しに失敗して割れてしまう卵もある。
母が帰還するまでの120日、父ペンギンは絶食状態で、仲間同士寄り添って寒さから卵を守る。
海に辿り着いた母ペンギンは海に潜り、ヒナと自分の命の糧のため獲物を捕獲します。100日後。母ペンギンが帰還する頃、ヒナが誕生するのだが、母ペンギンが外敵に襲われ帰還しなかった場合、体力の限界に近づいている父ペンギンはヒナを捨てて海に向かう。
無事帰還した母ペンギンが帰還した場合、父ペンギンは母ペンギンにヒナを預けて今度は自分が海へ向かって行進する。
ヒナ達は最初の試練となるブリザードで命を落とすヒナもいるが、弱肉強食の世界を生き抜いた精鋭たちは夏を迎え、帰還した父ペンギンから餌をもらう。成長したヒナは少しずつ大人の身体になってゆき、仲間と共に海へ旅立っていく。
過酷な世界で生きるペンギン
『皇帝ペンギン』の感想を一言で書くと「ペンギン可愛い」ってところに行き着いてしまう。
ただし『皇帝ペンギン』で撮影された世界は、可愛いペンギンの楽しい世界…ではなく、南極でのペンギンサバイバル生活。
油断したら凍えて死ぬし、自分達を餌として狙ったくる動物はワンサカいるし、「生きて繁殖する」ってだけでも奇跡だと思えるような過酷さ。
舐めた環境で暮らしている人間の立場からみると「どうしてそんな厳しい環境の中で暮らしているんだろう?」としか思えないのだけど、そういうう風に生まれついてしまったのだから仕方がないのだろうなぁ。
ペンギンの子育て、ハードモード過ぎですやん!
「動物の親子愛」とかどうとか言うよりも「生きることに必死」って感じがとにかくスゴイ。
様々なエピソードの中でも私が1番心に残ったのは我が子を亡くしたペンギンが他のペンギンの子を奪おうとする場面。彼らは「種の保存」と言うことに全力なんだなぁ。
日本語吹き替え版
日本語吹き替え版は大沢たかお、石田ひかり、神木隆之介が声を当てていて、これがけっこう良い味出してる。
私は洋画は吹き替えよりも元々の声で観る方が好きだけど、そもそも『皇帝ペンギン』のペンギンは喋らない存在なので、日本語吹き替え版でも問題ない気がした。
特に神木隆之介の子どもペンギンの声は愛らしくてたまらぬものがあった。
音楽にも注目
『皇帝ペンギン』はただただペンギンの生態が映し出される地味な映画なのだけど、意外にも退屈することはない。
南極の厳しい自然を写した圧倒的な映像美もさることながら、音楽が実に素晴らしいのだ。
『皇帝ペンギン』の音楽を担当したのフランス人のエミリー・シモン。サウンドトラック『皇帝ペンギン』はセザール賞サウンドトラック部門にノミネートされている。
押し付けがましくなく、ほど良く雰囲気を盛り上げてくれるBGM。白と青を基調とした南極の景色にバッチリハマる音楽は聞いていて実に心地良く、それでいてしっかり耳に残った。
上質なドキュメンタリー動物映画
「動物映画」と言うと、どうしてもお涙頂戴系に走ってしまいがちだけど『皇帝ペンギン』はドキュメンタリー映画…と言うこともあって、感動の押しつけをしていない。
そしてドキュメンタリーの場合、どうしても「真面目過ぎて面白くない」ってなりがちだけど『皇帝ペンギン』はドキュメンタリーでありながら面白い作品に仕上がっているのが素晴らしいと思う。
数年ぶりに視聴したのだけれど「また観たいな」と思える素晴らしい作品だった。