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映画『ルーム』感想。

4.0

『ルーム』は2015年にカナダ、アイルランド、イギリス、アメリカで合作されたサスペンス作品。少女が異常者に誘拐&監禁され、そこで犯人の子を産み育てた後に脱出する物語。

「とんでもない物語だな…」と思うのだけど、オーストラリアで起こったフリッツル事件がモデルになっている。

フリッツル事件(Fritzl case)とは、2008年4月に42歳の女性エリーザベト・フリッツル(1966年4月6日生)がオーストリアのアムシュテッテンの警察に対し、彼女が24年間に渡って自宅の地下室に閉じ込められ、父のヨーゼフ・フリッツル(1935年4月9日生)から肉体的暴力、性的暴力を受け、何度も強姦されたと訴えたことから発覚した事件である。父親からの性的虐待によって、彼女は7人の子供を産み、1度流産した。日本では、「オーストリアの実娘監禁事件」また「恐怖の家事件」等として報じられた。Wikipediaより引用

フリッツル事件については私も覚えているけれど、その事件をテーマにして映画が撮影されたのは知らなかった。

ちなみに『ルーム』はフリッツル事件に着想を得て作られているけれど、ドキュメンタリー映画ではなく、あくまでも別物。

今回は盛大なネタバレ込の感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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ルーム

ルーム
Room
監督レニー・エイブラハムソン
原作エマ・ドナヒュー
部屋(英語版)
製作エド・ギニー(英語版)
デヴィッド・グロス
出演者ブリー・ラーソン
ジェイコブ・トレンブレイ
ジョアン・アレン
ショーン・ブリジャース(英語版)
ウィリアム・H・メイシー
音楽スティーヴン・レニックス
編集ネイサン・ヌーゲント
製作会社Telefilm Canada
Filmnation Entertainment
Bórd Scannán na hÉireann/Irish Film Board
Element Pictures
No Trace Camping
Film4
配給カナダの旗 エレベーション・ピクチャーズ(英語版)
アメリカ合衆国の旗 A24
日本の旗 ギャガ/カルチュア・パブリッシャーズ
公開アメリカ合衆国の旗 2015年9月4日(テルライド映画祭)
アメリカ合衆国の旗 2015年10月16日
日本の旗 2016年4月8日

ざっくりとこんな内容

ジョイ・ニューサムは天窓が1つだけついた狭い部屋で5歳の息子ジャック2人だけで伊勢勝していた。

ジョイは2人はある男によって監禁され、その男の子どもを産む。ジョイの息子のジャックは母の言葉を信じ、外に世界があることすら知らずに5歳まで成長した。

ある時、ジョイは息子と自分の未来のために覚悟を決めて、脱走の計画を実行に移す。

監禁生活と脱出後の生活

『ルーム』は二部構成になっていて「監禁生活」と「脱出後」は全く違った物語だと言っても良い気がする。サスペンスやホラー作品において「監禁」は1ジャンルを築いているけれど『ルーム』のように「脱出後」を描いた作品は無いように思う。(もしかしたら他にもあるかも)

たいていの場合「脱出できて良かったね。これから幸せになれるね」でめでたしめでたし…って感じなのだけど『ルーム』の場合は、脱出した後の生活がむしろ本番ではないかと思う。

脱出前のハラハラもそれなりに良かったけれど、私としては脱出後の生活の方が面白かった。

監禁により失われた7年の歳月

ヒロインのジョイは監禁されてから脱出するまで7年間、監禁部屋で暮らしていた。途中から息子と一緒だった…とは言うものの、少女が監禁されて1人で5年間も子育てをしてきたのは異常な状況。

当然ながらPTSD状態だし、さらに言うならジョイが監禁される前と後では世界はガラリと変わっていた。

まずジョイの両親は離婚していて、ジョイの母親はジョイの知らない男性と再婚している。

自分に関係する人達の変化と世の中の変化。そして同世代の友達は溌剌と生活を続けている現実にジョイのメンタルはボロボロ。気の毒オブ気の毒。そりゃあ、普通ではいられないよね…って話だ。

そして息子のジャックもそれは同じ。ジャックは母親以外の人間と関わることなく育っているので、コミュニケーション能力なんて皆無の状態。それなのに突然「じいじ」「ばあば」と名乗る人と一緒に暮らさなければならないのだから、これまた気の毒な展開だった。

母親のジョイは「せっかく脱出したのだから、ジャックには普通の子と同じように暮らして欲しい」と願うのだけど、ジャックからしたら「普通? なにそれ美味しいの?」くらいの感覚なので、母の期待はプレッシャーでしかない。

世の中の人の好奇心と無慈悲

ジョイとジャックが解放されて「良かったね。これで自由に暮らせるね」って話なのだけど、現実はなかなか大変だった。

人々はジョイとジャックを歓迎するも、2人に対して不躾な好奇心をの視線をぶつけてくるのだ。マスコミの扱いはさらに酷く、ジョイに対して「子どもだけで解放してもらうと言う選択肢はなかったのですか?」と質問してくる始末。

ジョイは「自分1人で監禁されるのが嫌だったから息子を手離せなかったのでは?」と自問自答してしまったりして、ますます精神的な不安定に陥ってしまう。

じいじと犬と友達と

脱出後の母息子については、可哀相過ぎて見ていられない展開が続いていくのだけど、そこから立ち直ったのは息子のジャックが先だった。

やはり、何だかんだ言って子どもの方が柔軟性があるのだなぁ…てことと、成長期なだけに物事を吸収する力が大人よりも長けていたのだと思う。

ジャックの成長のキッカケを作ったのは意外にも、祖母の再婚相手(じいじ)のレオだった。

じゃあ、どうしてレオがジャックの成長のキッカケを作ることが出来たのか…と言うと単純にレオが「いい人だった」ってこともあるだろうけれど、レオはジャックと血の繋がりのない他人だから…ってところが良かったのだと思う。

実際、ジャックの血の繋がっていた祖父(祖母とは離婚済)はジャックを上手く受け入れることができなかった。実の孫…とは言うものの、ジャックは可愛い娘を誘拐&監禁した男の子どもなので、複雑な気持ちを拭うことが出来なかったのだと思う。

ジャックはレオとコミュニケーションを取ったり、レオの犬と遊んだり、近所の子どもと遊ぶようになってから大きく成長していく。この流れは美しくて尊い。

「動物が子ども成長を促す」って流れは定番中の定番ではあるけれど、まあ犬は普通に可愛いし仕方ないよね…って話だ。

そして気持ちの良いエンディングへ

息子であるジャックが成長していくことで、母のジョイもまた立ち直っていく。子育てって、親が子に育てられる側面もあるよなぁ…としみじみ。

きっと母のジョイはジャックのように世間に適応するのは難しいのだろうけど「少しずつ回復していってくれると良いなぁ」と思わせてくれるところで作品は終わっている。

最後まで視聴すると気がつくと思うのけど『ルーム』には沢山の暗喩のようなものが散りばめられているので、その辺も気をつけて見ると面白い。

  • ジャックはどうして監禁部屋の天窓を眺めているのか?
  • ジャックが病院で鏡を見る理由
  • ジャックが髪を伸ばし続けていたことと、切った事の意味。

……等、丁寧に積み重ねられたエピソードを回収しながら観るのも良いと思う。

『ルーム』は他の監禁作品とは一線を画する素晴らしい作品だと思う。興味のある方は観て戴きたい。

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白い木蓮の花の下で
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