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映画『東京ゴッドファーザーズ』感想。

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『東京ゴッドファーザーズ』は『千年女優』『パプリカ』などを手掛けた今敏の監督作。1949年のアメリカ映画『三人の名付親』(原題: 3 Godfathers)から着想を得て作られた作品とのこと。

物語の舞台はクリスマスシーズン真っただ中の東京なのに何故だか夏に視聴した。出来ることならクリスマス前に観て戴きたい。

今敏は『パプリカ』イメージが強過ぎて「訳のわからないアニメーション映画を作る人」みたいなイメージを持っている人も多いと思うのだけど、是非安心して観て戴きたい。

日本人の大人が楽しめる良いアニメーション映画に仕上がっていた。

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東京ゴッドファーザーズ

東京ゴッドファーザーズ
Tokyo Godfathers
監督 今敏
脚本 信本敬子
今敏
原作 今敏
製作 滝山雅夫
小林信一
真木太郎
出演者 江守徹
梅垣義明
岡本綾
音楽 鈴木慶一
公開 日本の旗 2003年11月8日

あらすじ

物語の舞台は東京。自称・元競輪選手のギンちゃん、元ドラァグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキ、三人は新宿の公園でホームレス生活を送っていた。

クリスマスの夜、ハナちゃんの提案でゴミ捨て場にクリスマスプレゼントを探しに出かけた3人は、赤ん坊を拾う。

ハナちゃんは赤ん坊に「清子」と名付け、自分で育てると言い張る。

しかし、ホームレスの3人が赤ん坊を育てるのは現実的に難しく、そうでなくても「実の親に返さなくても良いのか?」というところもあり、ギンちやんとミユキはハナちゃんを説得し、清子の実の親探しに出かけことになるが……

3人のキャラ設定が素晴らしい

『東京ゴッドファーザーズ』はザックリ言うと3人の大人(ミユキは厳密に言うと子どもだけど)が赤ん坊に振り回される物語。この類の物語は映画やドラマでは定番だし、赤ん坊の可愛さでどうにかなる感がある。

ただ「アニメーションで」となった場合、どんなにに腕っこきのアニメーターが描いたとしても、アニメの赤ん坊に人間の赤ん坊ほどの破壊力を搭載するのは難しい。

むしろ大人…3人の大人が重要になってくる。

  • 自称競輪選手 ギンちゃん
  • ドラッグクイーン ハナ
  • 家出少女 ミユキ

3人は新宿でホームレスをする身の上なので、それぞれ脛に傷を持つ身の上なのだけど「人として残念」ながらも優しいお人好しとして描かれている。

ハッキリ言って日本人は「優しいお人好し」が大好きなのだ。

『男はつらいよ』の寅さんは人として残念なところがあるくせに愛さずにはいられないのは寅さんが「優しいお人好し」だから。

寅さんは全シリーズに渡って永遠に放浪し続けたのだけど『東京ゴッドファーザーズ』の3人組は物語の中でしっかりと何かを見つけているところが素晴らしいと思う。

大人に観て欲しいアニメーション映画

『東京ゴッドファーザーズ』の主役3人組はアニメ声優ではなく、俳優の江守徹、梅垣義明、岡本綾が演じている。

私はヲタクなので「アニメ映画の声は声優が演じた方が良い」と思っている派だけど『東京ゴッドファーザーズ』の場合は声優ではなく役者で良かったと思っている。

ジブリのファンタジー映画のような絵柄ではなく劇画タッチで設定自体も現代日本なのでアニメ声優の声よりも「実際のオッサン」みたいな声の人の方が良かった気がするのだ。

岡本綾については軽く棒な感じではあるものの、江守徹、梅垣義明の演技は最高だった。

色々な人が暮らしている東京

今回はネタバレを避けたいので詳しいあらすじは書かないけれど「清子」の両親は厄介ごとに巻き込まれて乳飲み子の清子を手離している。

「厄介こどに巻き込まれた人達」は日本人に留まらず、海外から日本にやってきて日本で働いている人もいた。

『東京ゴッドファーザーズ』は2003年の作品だけど「東京ではすでに外国人労働者が多かったんだろうな」推察出来る訳で、2020年の現在、東京だけでなく私の住む大阪の田舎びた地域にも外国人労働者が激増している。

……と。なんだか回りくどい書き方をしてしまったけれど、要するに『東京ゴッドファーザーズ』は細部がリアルに出来ていることを評価したい…ってこと。

ふんわりとした妄想アニメーション映画ではなく、しっかりと日本と言う国を観察して作られている。

大人3人組が赤ん坊に振り回される映画…ってことで想像がつくと思うのだけど、ラストはハッピーエンドで終わっている。

大人が観て満足出来るハッピーエンドのアニメーション映画は貴重だと思うし、クリスマス前にまた観たい。

いわゆる「萌系」のアニメも悪くはないけど「アニメファンじゃない大人が観ても楽しめる大人のアニメ」があってもいいんじゃないかな…なんてことを思った。

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