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映画『メイドインアビス 深き魂の黎明』(R15)感想。

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『メイドインアビス 深き魂の黎明』はつくしあきひとの漫画『メイドインアビス』の劇場版。テレビで放送されていた『メイドインアビス』の続編で完全新作。

私は『メイドインアビス』の原作漫画が大好きだしテレビで放送されていたアニメも愛しているけれど、今回は感想を書くべきかどうか非常に迷ってしまった。

『メイドインアビス』は素晴らしい作品だと信じてやまないけれど『メイドインアビス 深き魂の黎明』はR15に指定されている。

公開直前までR12と言うことで進んでいたのに、土壇場になって年齢が引き上げられた…と言うところでお察し戴きたいのだけど、これだけでは説明不足だと思うので、もう少詳しく解説しておく。

『メイドインアビス』は決してエロい作品ではないけれど、人道的にアウトな作品なのだ。

日本では堂々と放映出来ているけれど、海外基準だと国によっては完全にアウト。子どもが酷い目に合う話で倫理的に許されない。

しかし私は創作の上での残酷描写や非倫理的行為もアリだと考えている。言っちゃあなんだけど文豪として知られている川端康成の『眠れる美女』なんかも、アメリカの児童ポルノ基準なら完全にアウトだし。

なんだか奥歯に物が挟まったような表現ばかりで恐縮だけど『メイドインアビス 深き魂の黎明』は人を選ぶ作品なので子どもへの暴力とか倫理を超えた残酷描写が苦手な人は辞めておいた方が良いと思う。

だけど私は良かったと思ったし、ファンの間ではなかなかの評判。

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メイドインアビス 深き魂の黎明(R15)

映画:劇場版メイドインアビス深き魂の黎明
原作 つくしあきひと
監督 小島正幸、垪和等(副監督)
脚本 倉田英之
キャラクターデザイン 黄瀬和哉
音楽 kevin penkin
その他 R15+指定

あらすじ

物語の舞台は人類最後の秘境と呼ばれる巨大な縦穴「アビス」。アビスの縁に作られた街には、アビスの探検を担う「探窟家」たちが暮らしていた。

探掘家立ちは命がけの危険と引き換えに、日々の糧や超常の「遺物」、そして未知へのロマンを求め、今日も奈落に挑み続けている。

ヒロインのリコは孤児院で暮らす探窟家見習い。

アビスへの憧れが人一倍強いリコは、母のような偉大な探窟家になることを夢見ていた。ある日の探窟で、リコは謎の存在に生命の危機を救われる。それは人間の少年そっくりのロボットだった。

リコはロボットにレグという名前を付け、大人達の目を欺きながら、レグと共に過ごすようになる。

レグが孤児院に入って2カ月が経つ頃、リコの母親であるライザの白笛と封書が地上に上がってくる。

封書には、誰も見たことがない深層の生物の情報と「奈落の底で待つ」と書かれた紙が同封されており、リコはレグと共に母親の待つ奈落の底を目指す。

物語はアビスを目指したリコとレグが途中、ナナチと言う仲間を得て、黎明卿ボンボルドと対峙し、深界5層から6層へとダイブするエピソードを描いている。

妥協なき映像美と音楽

アニメになった『メイドインアビス』の素晴らしさのベースは妥協のない映像美にあると思う。

はじめてテレビで『メイドインアビス』を観た時はその美しさに度肝を抜かれた。

「もはやテレビアニメの粋を超えている…」と。

昔から日本のアニメーションの美しさは各国から絶賛されてきたけれど、それでも映画とテレビアニメを較べると、映画に較べるとテレビアニメとして放送されるアニメーションは「まあまあくらい」の美しさだった。

しかし『メイドインアビス』はテレビで放送されていた時点で「これって劇場版?」と錯覚するほどの美しさだった。

『メイドインアビス』はファンタジー設定で自然描写が多いのだけど、前編を通してため息が出るほど美しい。その美しさは映画になっても健在で最初から最後まで妥協のない映像美を楽しむことが出来る。

映像美と共に素晴らしいのが音楽の美しさ。

音楽を担当しているのはケビン・ペンキン。オーケストレーションとシンセサイザーを融合した独特の手法で『メイドインアビス』の持つ独特な世界観を表現している。

制作スタッフのほとばしる愛

『メイドインアビス 深き魂の黎明』は『メイドインアビス』の登場人物の中でも最凶とも言えるボンボルドとその愛娘のプルシュカがメインの物語。

ボンボルドは『メイドインアビス』の世界において、探窟家の最高峰である「白笛」の1人で黎明卿と呼ばれている。控えめに言ってクズ野郎。

ザックリ言うとマッドサイエンティスト的な存在で自分の目的を達成するためなら、人の命なんてゴミクズくらいにしか思っていない。

ところがこのボンボルド。行動は腐れ外道なのに言葉遣いは丁寧で紳士。この落差がファンの間では愛されていて「絶対に許せないのに憎めない存在」となっている。

今回は制作スタッフのメイドインアビス愛を感じる仕上がりになっていて、ボンボルドの非道さとプルシュカの愛らしさが痛いほど伝わってきた。

ガチ泣きする大人の群れ

何度も書くけれど『メイドインアビス 深き魂の黎明』はR15指定。酸いも甘いも噛み分けた大人にだけ観ていただきたいし、子どもには刺激が強過ぎる。

劇場に足を運んでいたファンの年齢層も高めだったし、正しい姿だと思っている。

そしてそんな大人達がガチ泣きしていた…ってことを報告しておきたい。

……あれは泣くわ。原作読んでても泣く。

ボンボルドの腐れ外道っぷりと、プルシュカのいじらしさが「これでもか!」と言うほど表現されていて、なんかもう…感極まってしまう作品に仕上がっていた。

『メイドインアビス 深き魂の黎明』は観る人を選ぶ作品だし、誰にでもオススメ出来るような作品ではないけれど、力作である事だけは間違いない。

『メイドインアビス』の原作はまだ続いていてアニメ化されていない部分が多いのだけど、同じスタッフで最後までアニメ化して欲しいと切望する。

倫理的にアウトなものを含んでいる作品なので「表現狩り」のようなものに合わずに是非最後まで走りきって欲しい。

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