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マジカルグランマ 柚木麻子  朝日新聞出版

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『マジカルグランマ』は第161回直木賞候補作。第161回の直木賞は候補者が全員女性と言う面白いレースだったけれど、柚木麻子は受賞するに至らなかった。

個人的には「功労賞的な意味合いでそろそろ直木賞あげても良いのでは?」と思ったのだけど、実際に作品を読んでみると「悪くはないけけど直木賞ではないな」みたいな気持ちになってしまった。

題名になっている「マジカルグランマ」とは『優しくて理想のおばちゃん』を意味する。

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マジカルグランマ

ザックリとこんな内容
  • 主人公は元女優で映画監督の妻の正子。75歳。
  • 映画監督である夫とは敷地内別居中で5年ほど口を利いていない。
  • そんな中、正子は75歳を目前に先輩女優の勧めでシニア俳優として再デビューし「日本のおばあちゃんの顔」となるのだった。
  • しかし、夫の突然の死によって仮面夫婦であることが世間にバレ、正子の評判は地に落ちる。

感想

『マジカルグランマ』は軽くて楽しい読み物を求めている時にオススメしたい1冊。ただ、相当軽いのでそこのところは覚悟して戴きたい。

高齢者が主人公の作品…とは言うもの、主人公の正子はスーパーおばちゃん。リアリティはまったくない。楽しいコメディとして読んだ方が良い気がする。

三谷幸喜が好みそうなドタバタ群像劇でテンポ良く話が進んでいくので、ストレスを感じることなくサクサク読めてしまう。だけど、なんと言うのかなぁ…浅い。浅過ぎるのだ。

柚木麻子が高齢者を主人公にした作品を書くのは『マジカルグランマ』がはじめてだと思うのだけど、なんかこう…高齢者が主人公なのに、高齢者感が感じられないのだ。

高齢者の気ぐるみを着た中年女…って感じ。

お話自体は面白いし、映像化したら映えると思ったけれど、漫画ちっく過ぎてイマイチ話に入り込むことが出来なかった。なんかこう…柚木麻子の作品って最近、どんどん軽くなっている気がする。

軽い読み物もそれはそれでアリだと思うのだけど、ここまで軽いと読む人を選ぶ気がする。私は正直言って物足りなく感じてしまった。

直木賞…と言うにはパンチが弱過ぎる気がする。

柚木麻子はなんだかんだ言って上手な人なので最近の路線はちょっと惜しい。前回読んだ『BUTTER』も微妙に残念だったし。

もしかしたら惜しいと思っているのは私だけで世間的にはこれくらい軽い方が良いのかも知れないけれど。

柚木麻子の作品は、よほど評判が良くなければ、しばらくパスしようと思った。

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