最近は子どもに変わって親が子どもの代わりに婚活をする「親婚活」なるものがあるらしい。
私は結婚しているけれど、結婚したのが遅かったし、そもそも結婚する気もなかったので「早く結婚しなさい」的な言葉には敏感だ。結婚するまでそれこれ耳タコ状態で聞かされてきた。
私もテレビで「親婚活」の特集を見たことがある。実のところ「特別な人がするんだろうな」と思っていたけど、小説のテーマに取り上げられる程度には一般化している…ってことに、まず驚いた。
うちの子が結婚しないので
- テーマは『親婚活』
- 主人公の千賀子は50代の働く主婦。夫と28歳になる娘の友美との3人暮らし。
- 老後の準備を考え始めた千賀子は独身、彼氏無しの娘の将来が心配になる。
- 千賀子は親同士が子供の代わりに見合いをする「親婚活」を知り参加することに。
- 親婚活の中で嫁を家政婦扱いする年配の親、家の格の差で見下すセレブ親など、様々な親、様々な独身男性を知ることになる。
- 果たして千賀子の親婚活の行方は…
感想
今回も安定の垣谷美雨。サクサク読みやすいので3時間もあればイッキ読み出来ると思う。
題名を見て「親婚活のドタバタ劇かな?」と予想していたけれど、親婚活のドタバタ…と言うよりも、むしろ「現代の結婚事情」を描いた作品だと思う。
作品の中で描かれている婚活は風景は「親婚活だから」と言うよりも、むしろ婚活の一般論って感じだった。
- 自分の息子の年齢を考えずに若い女性との結婚を望む親
- 学歴重視・ルックス重視で婚活に挑む親
- 家政婦をゲットするような気持ちで婚活に挑む親
- 娘の結婚相手をATMとしか見ていない親
これって全部「親」を抜いても成り立つものばかりだ。親の心情を描いた「親婚活」独特の世界が読めるものだと思っていたけれど、一般的な婚活コメディだと思った。
作品に登場する「結婚論」とか「理想とする結婚の姿」は、結婚あるあるって感じ。
自分の周囲を見渡してみても「そういう人いるよね~」って感じで、誰でも知り合いに1人や2人はいそうな人達。「世の中の流行りを描く」と言う意味ではよく出来た作品だと思う。
ただ、ちょっと話が上手く進み過ぎで、ラストも「そんな上手いこといくかな?」って展開。ノリよく読ませてれる…と言う意味では最高だけど、正直物足りなかった。
私は婚活を語れるほど経験豊富な人間じゃないけど、結婚も就職も「運と縁」が全てだと思っている。運や縁を掴むための努力を怠ってはいけないけれど、上手いことやって人達が優れている…って訳じゃない。
私は結婚して幸せだと胸を張って言えるけど、美人でもなければ、男を見る目があった訳でもない。単に運が良かったんだと思う。そもそも夫と結婚したキッカケは2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)だし。
軽く読むエンタメ小説としては良い作品だと思うけど、個人的にはガッカリだった。
ただ、なんとなくNHKあたりでドラマ化されそうな作品だなぁ~とは思った。