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水に描かれた館 佐々木丸美 講談社文庫

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海を臨む洋館で起こった殺人事件を書いた『崖の館』の続編。

ブック・オフの100円棚で見つけて「そう言えば読んでいなかったなぁ」とて購入してみした。

毎度ながらロマンティックが止まらない佐々木丸美ワールドに圧倒されつつ、そこそこ面白く読了した。

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水に描かれた館

いとこ三人の死の秘密をいだく“崖の館”。

財産目録作成のため再び集った涼子たちだが、招聘した鑑定家は予定より一人多く来た。招かれざる客の目的とは。

奇妙な緊張を孕んだまま迎えた一日目の夜、聖書を携えた少女が館に保護された。以降、人知を超えた出来事が館で立て続く。

幻視的世界の神秘を纏い繰り広げられる密室劇は終局に至って驚くべき展開を遂げる。

アマゾンより引用

正直なところ、佐々木丸美の書く作品は、どれもこれも同じような印象を受ける。

殺人も、陰謀も似たりよったりで画一的。それぞれの作品が少しずつリンクしているという部分を考慮しても、登場人物に使いまわしの感は否めない。

ヒロインにいたっては「固定キャラ?」と思うほどだ。

だが面白く読ませてくれるのが作者の技なのだと思う。

流麗な日本語の美しさでもって、ガンガン押してくる感じがとても良い。

そして、何よりもエキセントリックな女性達の魅力と言ったら!

江國香織が書くエキセントリックな女性は、イマイチ好感が持てないのだが佐々木丸美の描くエキセントリックな女性はとても好きだ。自由な魂を持った、不自由な人……という印象がある。

今回のエキセントリックナンバーワンは「石垣さん」という女性だった。

真面目で、奥手で、自信が無くて、ヒステリックで。そんな石垣さんの本質を見抜いていた「おばさま」は作者の目線を投影させた人物ではないかと思う。

ちなみに、佐々木丸美の書く作品の多くには「これって作者?」と思わせるような、視線の持ち主が必ず登場するのだ。男性だったり、女性だったり色々だけれど。

佐々木丸美は女性を書かせたら非常に上手い作家さんだと思う。

佐々木丸美の書く女性の美しさは、吉屋信子の書くそれと通じるところがあるように思う。

お話として取るに足りないものだったし、オチも納得で出来なかった。

だが充分に楽しませてもらった。それにつけても、これだけ「恋」という言葉を織り込んだ作品は珍しいのではないかと思う。

佐々木丸美ならでは……の手法だと思う。

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