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透析を止めた日 堀川恵子 講談社

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『透析を止めた日』は作者自身の経験とその後の取材などを元に書かけれたノンフィクション作品。透析と透析患者についてのことが書かれていて、作者は透析患者だった夫を看取っている。

私は当事者ではないけれど親友が透析患者であり、医療的ケア児と関わる仕事をしている…ということで、何かのタイミングで読んでみたいと思っていところ、Audible化されたので聞いてみた。

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透析を止めた日

ザックリとこんな内容
  • 透析患者だった夫の12年にわたる透析と腎移植の壮絶な闘病を綴ったノンフィクション。妻として向き合った葛藤が描かれている。
  • 血液透析の過酷さや終末期医療の問題を詳細に描き、制度の矛盾を問う。
  • 後半は緩和ケアや腹膜透析の可能性を探る取材に基づいた内容。

感想

人工透析って昭和・平成の頃は「人工透析の人間は10年しか生きられない」と言われていて、親友が人工透析をはじめると聞いた時ショックを受けた記憶があるのだけれど、その親友も人工透析歴15年を越えるようになっている。医療の進歩は実に素晴らしい&ありがたい。

私は親友が透析患者ではあねものの「人工透析患者の終末期」については考えたことが無かったので『透析を止めた日』に書かれていたことは勉強になったし、色々と考えさせられた。

前半は作者とその夫の壮絶な闘病記。作者の本当に気の毒としか言いようがない最期を迎えている。作者は医療体制に対して不信感と言う不満を持っているのだな~と言う印象なのだけど、正直書かれていることすべてに賛同することはできない。この本に書かれていることは、あくまでも「作者の私感」でしかない。いわゆる「あくまでも個人の見解です」ってヤツ。

作者の夫は「最新の治療を受けて長生きしたい」と言う意思があって、夫婦でその目標に向かって立ち向かっていく姿は素直に応援しながら読んでいたけれど「もう助からない」と現実が見えてきたところから、方針を転換するあたりからは「それは無茶なのでは?」と気持ちが醒めてしまった。

「最新の医療を受けることでの延命」と「苦痛のない死」を両立させるのは難しいのではないかな?

夫婦してテレビ(NHK)のプロデューサーをしていて取材や情報収集に関しては長けている人達だっただろうに、腎臓病や人工透析に関する知識に偏りがあるのが気になった。「自宅で人工透析ができることを知っていたら」云々を書かれても腹膜透析は私の親友が人工透析をはじめた頃からすでに存在していたからなぁ。

なんかこぅ…書き方がフェアじゃないことが気になった。

作者も亡くなった夫も病気に対する向き合い方が本気じゃなかった気がする。当時の彼らにとって1番大切なのは仕事だったのではないかな。だから何もかもが後手に回ってしまったことで「しなくてもよかった辛い思い」をすることになったのかも知れない。

終末期医療と緩和ケアについては話を広げ過ぎと言うか「人工透析患者だけのテーマではないのでは?」と違和感があった。この作品が「夫婦の闘病記」みたいな感じだったら「そうですよね。もっと楽に死にたかったよね」と心を寄せられたかも知れないのだけど、妙にジャーナリズム寄りに仕上げているので突っ込みたくなってしまうと言うか。

全面的に作者の主張を指示することは出来ないのだけど「人工透析ってこんな感じなんですよ」ってことを世の中に広める本としては価値があると思し、身近に透析患者がいる人は読んでおいても良いかと思う。

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