婚活にまつわるミステリ短編集。
前回読んだ『聖母』が面白かったので他の作品も読んでみようと手に取ったのだけど期待外れだった。そこそこに面白かったのだけどビックリさせられたのは収録されている4作品のうち1つだけ。あ
との3作品については「ふ~ん」レベル。
「婚活あるある」的な共感を感じるようなタイプの作品でもなく、ゾッっとするようなミステリでもなく。立ち位置が中途半端なな短編集だと思う。
婚活中毒
私が唯一気に入ったのは公開お見合い番組に応募して婚活にチャレンジした『リケジョの婚活』。これはなかなか面白かった。
テレビの公開お見合い番組をテーマに持ってきたところも良かったし、何よりも鮮やかなどんでん返しが素晴らしかった。
ミステリ好きの人なら途中でピンときたかも知れないけれど、私は全くの予想外で「こう来たか!」と驚かされた。
他の3作は正直パッっとしない。
面白くない…とまでは言わないけれど、ミステリにしては怖くもないし謎が明かされても驚きがない。
せめて婚活をする登場人物の気持ちに添えたら良かったのだろうけれど、マニュアル的と言うか一派的な婚活でしかなくリアリティや切迫感が感じられず物語が頭の中を横滑りしてしまった。
文章は読みやすいし1時間か1時間半もあればササッっと読めると思う。
ただ、これでハードカバー1300円は出せないなぁ。私は図書館で借りて読んだのだけど、単行本化するならもう少しボリュームが欲しいところ。
この本に限った話ではないけれど、最近薄いくて高い本が多過ぎる気がする。出版不況と言われるご時世なので色々と大変なのかも知れないけれど、お金を出して買ってもらうに相応しい本にして欲しい。
「薄くて容量少なくても買いたい」なんてよほどのファンでないと難しいように思うのだけど最近は薄い本の方が売れるのだろうか?
色々な意味で満足出来ない1冊だった。面白いと思う作品も含まれていただけに残念に思う。