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R帝国 中村文則 中央公論新社

分かりやすいディストピア小説だった。

中村文則の作品を読むのはこれが初めてなのだけど「センスあるなぁ」と感心した。ディストピア小説が好きな人ならサクサク読めると思う。

ちなみに題名になっているR帝国とは日本のこと。

R帝国の他にもY宗国だのB国だの実在する国をイメージした国が登場する。昨今は北朝鮮がミサイルを撃ちまくっているので他人事とは思えない設定で一気読みしてしまった。

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R帝国

舞台は近未来の島国・R帝国。ある日、矢崎はR帝国が隣国と戦争を始めたことを知る。だが、何かがおかしい。

国家を支配する絶対的な存在″党″と、謎の組織「L」。やがて世界は、思わぬ方向へと暴走していく――。

世界の真実を炙り出す驚愕の物語。

アマゾンより引用

感想

いささか厨二病風ではあるけれど、作者中村文則は設定を作るのが上手いな…と感心した。

近未来R帝国(日本)は今と同じでネット社会。人はスマホを手放せなくなっていて、ツイッター的なものや2ちゃんねる的なものが幅を利かせているっぽい感じ。

ちなみにスマホはスマホではなくHP(ヒューマン・フォン)と呼ばれていて人工知能搭載。昔で言うとこの『ナイトライダー』とか『攻殻機動隊』のタチコマをイメージして戴ければ良いと思う。

「HP=ホームページ」として生きてきた人間にとって、このHPって文字を見て「ヒューマン・フォン」と理解するのはちょっと骨の折れる作業だった…ってところはさておき。

ディストピア小説として、こういった小道具が上手に使われていて生き生きしているのに感心した。

そして肝心の作品。「物語を追う」と言う意味では面白かったけれど、ハマるまでには至らなかった。物語を重視するあまり登場人物達が生かし切れておらず、どの登場人物も薄っぺらく感じてしまった。

ディストピア小説なのである程度仕方がないのかも知れないけれど、設定ありきで何もかも進んでいる分、逆に言うと「設定しかみるところがない」と言う感じになってしまっている。

面白い作品だとは思ったものの、個人的には好きになれなかった。

どうも私は一定の思想を持った小説が好きじゃないみたい。

政治が絡んでくるタイプのものは特に。文学や芸術に自分の思想を突っ込んでいくのは昔からあった手法だし、そう言うタイプの作品があるのも分かるのだけど、空想の世界にそこは求めていないと言うか。

百田尚樹の『カエルの楽園』も思想的に偏った作品だったけれど、この作品を読んではじめて「あの作品は登場人物が立っていたから読みやすかった」と言う事実に気がついた。

あの作品は登場人物をカエルにしたのが良かったのだろうなぁ。

個人的にはイマイチ好きじゃないタイプの作品ではあるけれど、出るべくして出た作品だな…って気がする。

私自身、好きじゃないのにオススメするのもなんだけど、ディストピア物が好きな人は読んでみてもいいんじゃないないかな…と思う。

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白い木蓮の花の下で
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