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宰相A 田中慎弥 新潮社

芥川賞受賞後の野心作との触れ込でツイッター界隈でいたく評判が良いので手に取ってみた。

田中慎弥の作品を読むのはこれが2作目だけど、芥川賞作品は読んでおらず、作風はイマイチつかめていない。

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宰相A

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揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。

母の墓参に帰郷したはずが、「日本国」の違法侵入者として拘束された小説家Tは、主権を奪われた「旧日本人」の居留地に送られる。

そこで自分と瓜二つの伝説の救国者Jの再来とみなされたTは、国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。もう一つの日本に近未来の悪夢を映す問題作。

アマゾンより引用

感想

小説家のTと言う男が、突然別次元の「日本」に放り込まれて、そこで伝説の反体制運動のリーダーJの再来として扱われる……と言うラノベちっくな展開だった。

大人のラノベと言うところだろうか。しかしラノベと馬鹿にしたものではない。

よくよく考えてみれば安部公房の『砂の女』だって異次元設定だったし、カフカの『変身』だって「ありえない設定」だったのだから。格好良い言葉で説明するなら不条理文学と言うところだろうか。

物語は理不尽で感じが悪いの一言に尽きる。

悪夢を見ている感じにも似ているし、ロシアのマイナー映画を見ている感じにも似ている。題名になっている宰相Aは安部首相を、主人公の作家Tは作者自身を差していると考察する人もいるようだけど、そんな事はどうでも良い気がする。

反政府的な作品なのかと思えば、そうとも言えない感じ。ストーリーはあるけれど理不尽な展開が延々と続いていく。

感動したいとか、何か得たいとかを思って読むなら不向きだと思う。最後まで読んでも感動しないし、読後感も至極悪い。

……とは言うものの、個人的にはこのノリは嫌いじゃない。

「書いてやろう!」と言う気概を感じるし、何よりもこういうタイプの作品って最近にしては珍しいのだ。傾向は違うけれど吉村萬壱の『臣女』を読んだ時にも「このノリ嫌いじゃない」と感じた。

好き嫌いはともかく、読後が良くて似たように感動する作品は後になって覚えていない事が多いのだ。「他には無い作風」って貴重だと思う。作者の今後の活躍には期待したいところ。どんな風に成長してくれるのか、それともここが頂点なのか。

あれこれ屁理屈を並べてみたけれど面白かったかと問われると正直微妙ではある。不条理文学は嫌いじゃないけれど、不条理を読ませるには圧倒的にパワー不足。

安部公房の『砂の女』がダンプカーなら、この作品は軽トラックって感じ。

ストーリー的に中弛みする部分も多いし、性的な表現も微妙な感じ。エロくもなく面白くもない。方向性は理解出来るけれど、いま一歩、芯まで届かない感じ。次の作品に期待したいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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