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すみなれたからだで 窪美澄 河出書房新社

大人向けの短編集でビックリしてしまった。

窪美澄は厨二病全開の作風の人だと思っていたので「大人向けの普通の小説も書ける人なんだ!」と。

さよなら、ニルヴァーナ』で幻滅して『アカガミ』で「ちょっと悪くないかも」と思った。

そして今回は「いいじゃない」と高評価。

一貫したテーマはないのかな…と言う印象の8編からなる短編集。それぞれの主人公達は性別も年齢もバラバラ。

あえてこじつけるなら「性」をテーマにした作品が多め。

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すみなれたからだで

三年前のよく晴れた冬の日、五日市線の終着駅から父が入居予定の施設に向かったわたし。

厳格な祖母が取り仕切る古い商家で、家業が傾いてもなおひっそりと生きた、かつての父のすがた。そしていま、自分の人生を選び取ることですれ違っていく夫との関係――

わたしにとって、生きるということは、二人の男を棄てることなのだった……(「父を山に棄てにいく」)

アマゾンより引用

感想

題名の付け方がとても好みだ。表題作の『すみなれたからだで』とか『父を山に棄てに行く』とか。ちょっと気になる感じと言うか、思わせぶりな感じと言うか。

最初に「一貫したテーマはないのかな…と言う印象」と書いたけれど、強引にテーマを探すとするなら「普通の人達の中にある秘密」ではないかな…と思う。

性的な思い出だったり、恋心だったり。自分の中で消化しきれない気持ちだったり。どの短編も「そんな人、いそうだなぁ」とか「あ…ちょっと分かるかも」と思えるところが素晴らしい。

私が気に入ったのは高校生のひと夏の経験(これは性的な経験ではないよ)を描いた『銀紙色のアンタレス』。

「夏・海・おばあちゃん・浴衣・恋心」と、中年が読んだら泣いてしまう材料をごった煮にして上手いこと調理している。

人間はどうしようもない心を抱えて、気持ちのすれ違いを経験しながら生きていくのだな…とか思ったりした。

若者と高齢者の組み合わせっていいなぁ…と思う。これかが中年と高齢者の組み合わせだと、とたん介護問題とかになってドロドロしてしまうだろう。

中年と言えば中年主婦が主人公の表題作『すみなれたからだで』も面白かった。

私とは随分とタイプの違う主人公なので「気持ちを添わせる」と言う感じではかったのだけど「生きてるっていいなぁ」とか「みんなそうやって生きているんだなぁ」と思わせてくれる作品だった。

以前「壮大でなくてもいいから、作者の持っているであろう真面目さや丁寧さが前に出た作品を読ませて欲しい」と感想を書いた事があるだけれど、希望通りの作品だった。

窪美澄の真面目さ、丁寧さが前に出ていて非常に良い作品だと思う。

窪美澄はなんだか言って気になる作家さんなので、新しい作品がいたらまた読みたいな…と思う。

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白い木蓮の花の下で
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