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アカガミ 窪美澄 河出書房新社

近未来の日本が舞台のSF小説。

若者が恋愛や結婚をしなくなり、将来を悲観して自殺する若者が急増している…と言う設定の近未来日本が舞台。

日本政府は少子化対策としてお見合いシステム「アカガミ」を作る。

主人公はアカガミに志願した若い女性。近未来と言っても、そこまで突飛のない設定ではなく「分からんでもない」感じが上手いと思った。

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アカガミ

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渋谷で出会った謎の女性に勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。

異性と話すことすらままならない彼女にとって、国の教えはすべてが異様なもの。

パートナーに選ばれたサツキとの暮らしを通じて、次第に恋愛や性を知り、「新しい家族」を得たのだが…。

手厚いサポートに隠された「アカガミ」の真の姿とは?

アマゾンより引用

感想

今回の作品は主人公の女性になんとなく肩入れして読んでしまった。

……と言うのも、主人公の女性は恋愛を理解出来ないところからスタートして、アカガミで知り合った男性と心を通わせ「家族」を作るのだけど、心情が細やかに描かれていて「それ、分かるわ!」と共感する部分が多かったのだ。

私は運良く結婚出来たけれど、ずっと恋愛下手だったし、夫と結婚する時も「合わなければ別れたらいいし」くらいに思っていた。

子どもは好きだけど、猛烈に子どもを望んでいた訳でなく、出産後も子どもに対する愛情よりも「この頼りない生き物を死なさず育てていかねばならんのか!」と言うプレッシャーの方が大きかった。

しかし、夫と暮らし、娘を育てていくなかで愛情を持つようにもなったし、彼らを大切に思うようになった。要するに時間をかけて家族になった…って事なのだと思う。

主人公の女性も時間をかけて、パートナーと向き合っている。

その真面目な姿勢はとても良いと思ったし、かつての自分を見ているようで少し恥ずかしいような気持ちにさえなってしまった。

SF小説と言うよりも、不器用な恋愛小説を読んでいるような感じ。こういう真面目な恋愛って、小説では珍しいように思う。

ただ残念なのは題名になっている「アカガミ」のシステムが全く生かされていないと言うこと。

窪美澄はSF畑の人ではないせいか、いくらなんでも設定がザル過ぎた。

「こまけぇこたぁ、いいんだよ」と言ってあげたいところだけれど、題名に持ってきちゃっている骨子になる部分がグラグラと言うのは作品としてどうかと思う。

これじゃあSF小説ではなくて、ただの雰囲気小説に過ぎない。

……とは言うものの前回読んだ『さよなら、ニルヴァーナ』で幻滅させられた事を思えば「まぁ、良かったかな」とは思う。

『さよなら、ニルヴァーナ』はケチョンケチョンに書かせてもらったけれど、本当は嫌いじゃないんだけに。

今回の作品は背伸びし過ぎちゃった感があるので、次回は是非壮大でなくてもいいから、窪美澄の持っているであろう真面目さや丁寧さが前に出た作品を読ませて欲しいな…と思う。

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白い木蓮の花の下で
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