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ぼくらはみんな、ここにいる 大石英司 中公文庫

夏に読むにはもってこいのタイムスリップ漂流物。

中学の吹奏楽部に所属する主人公達は、島原半島の近くにある、とある島へ合宿に行き、江戸時代へタイムスリップをしてしまう。

『十五少年漂流記』のような孤島生活ネタと『戦国自衛隊』のようなタイムスリップネタが1度に味わえるという贅沢仕様。

ちょっと漫画ちっくではあるけれど、これがけっこう面白かった。

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ぼくらはみんな、ここにいる

全国大会での優勝経験もある、光が丘中学校吹奏楽部の夏の合宿先に選ばれたのは、神主島という、島原半島のほど近くに浮かぶ小さな島だった。しかし、この島で充実した合宿生活を送るはずだった彼らを待ち受けていたものは……。壮大な運命に立ち向かう少年少女たちを描いた、著者渾身の感動巨篇!

アマゾンより引用

感想

この作品の主人公達は子供ばかりで生活していたのではなく、島の管理人や吹奏楽部の顧問やOBといった数人の大人がいて、彼らの力を借りて生活した……というところが既存の作品達とは少し違っているように思う。

主人公達は、大人達に対して対して反抗すること無く、いささかお利巧過ぎのような気がしなくもなかったが、大人と子供が共存していく過程がなかなか面白かった。

いくら思春期の若者と言っても、実際のところ「従わなければ生きていけない」という状況に置かれたら、案外素直になるものかも知れない。

漂流物を読む醍醐味は「その環境に順応していく人間の姿」を追うところにあると思う。

テレビやパソコン、携帯電話が必需品だった中学生達が、少しずつではあるけれど、島の生活に順応していく過程が丁寧に描かれていて、なかなか面白かった。

サバイバル生活と言うけれど、私自身、魚は、どうにか捌くけれど鶏を潰した経験はない。

「生きるために食べ、食べるために別の命を奪う」という行為は、生きていくためには必要不可欠とは言うものの、現代日本で暮らしていると、血なまぐさい感覚にギョッさせられてしまう。

だけど生きるって、そういうことなのだなぁ。当たり前のことなのに、すっかり忘れている自分を思い知らされた。

ネタバレはしたくないので詳細は書かないけれど、漂流者達にとって島での生活は一時的な物ではなく、彼らは成長し、結婚し、子供を成したりもする。

現代に残してきた家族への愛惜の情を抱えつつ、新しい家族を育んでいく様子が切なくてたまらなかった。

人は思い出よりも、いまそこにある温もりを求める生き物なのだなぁ。

大絶賛とまでは言わないけれど、漂流物としても、タイムスリップ物としても十二分に面白い1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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