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東京島 桐野夏生 新潮社

現代大人版『十五少年漂流記』だった。

太平洋に浮かぶ無人島に32人が漂着し、そのうち女性は46歳の主人公のみ。

なんと魅力的な設定!

しかも私は「漂流記」という読み物が大好きなので、しかも作者の作品は好きなのでワクワクして読みはじめたのだけど、この作品は好きになれなかった。

ひとことで感想を言うなら、レベルの低い『蠅の王』ってところだろうか。

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東京島

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新潮社
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清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。

夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。

だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える──。

アマゾンより引用

感想

途中まではけっこう面白かった。

ただ、好き嫌いは別れるだろうと思う。人間が醜悪に描かれているし「男性の群れに放り込まれた女性」って設定なので、セックス描写も多いし、何かにつけて下品な文章が多い。

読む人によっては主人公の高慢さが腹立たしくてウンザリするだろうし、欲望や自らの都合しか考えようとしない人間達の姿に嫌気が差してしまうだろうと思う。

私の場合は、そのあたりは特に気にならなかったのだけど、ラストのオチがどうしても納得が出来なかった。

ここから先は大事なことのネタバレなので、ネタバレが嫌な方はご遠慮ください。

結論から言うと主人公は無人島からの脱出に成功する。

しかし主人公は脱出する際に男の子と女の子双子を出産していて、女の子だけを連れて無人島を出ることになる。

これは主人公の選択ではなく、男の子は島に残った仲間に奪われてしまうのだけど、ここからが問題。

無事に島から脱出した主人公は日本に帰国し、そこそこ幸せに暮らすのだけど自分以外にも漂流した人間がいたことを誰にも告げなかったのだ。

その中に我が子がいたにも関わらず……だ。

実は主人公以外にも島から脱出出来た人がいて、その人も仲間の存在には口を噤んだのだが、その人に関しては納得のいく裏付けがあった。主人公の場合はその辺の理由が希薄過ぎる。

「母親だから子供は愛しいはずだ」とは思わない。むしろ、世の中には子を愛せない母親だって多いのだ。

しかし、主人公にはそういう描写は無かった。

我が子を無人島に置き去りにしたオチが納得できないのもさる事ながら、ラストへ向かっていく経緯は、いい加減と言うか、雑過ぎるように思った。

桐野夏生にしては、話がしっかり練り込めて作品のように思う。

読後も後味が悪いし、そうかと言って人間の汚い部分を描ききっているとも思えない。

新作と言うことで期待して読んだのだけど、残念としか言いようのない1冊だった。

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