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子の無い人生 酒井順子 角川書店

酒井順子と言えば『負け犬の遠吠え』を思い浮かべる人が多いと思うのだけど、私もその中の1人。

負け犬の遠吠え』では独身女性がテーマになっていたけれど、今回の作品では「子どもがいない女性」がテーマになっている。既婚者でも子どもがいなければ「仲間」って認識でOK。例の保育園問題の騒ぎに乗じて…と言うと言葉は悪いけれど、保育園問題と共にTwitter等で話題になっていたので気になって読んでみた。

「子どもがいないと言う事」がテーマになっているものの、正直「独身女性あるある」の域は出ていないように思う。

作者が未婚女性なので仕方がないかも知れないけれど、女性を「子どもがいる」「子どもがいない」に便宜上分けてみたものの「既婚者で子どもがいない女性」については深く書かれておらず、結局のところ「作者自身と作者の周囲にいる独身女性達の話」でしかなかったように思う。

「独身女性あるある」と言う意味では面白く読めると思う。私自身、独身時代が長かったので「それ、分かるわぁ」と思う部分は多々あった。

しかし残念なことに、作者の見ている世界はあまりにも狭過ぎる。テーマのあるエッセイなら、もう少し取材をして欲しい。自分自身、自分の兄夫婦、自分の友達、仕事関係で知り合った人……と、作者の手の届く範囲でしか問題が語られていない。なので、この作品の内容が「子どもいない女性達の意見である」と言うのは、どうだろう…と首を傾げてしまう。

「独身女性は姪や甥を可愛がる」とか「同じ子無しでも独身男性は趣味に生きる人が多くて羨ましい」とか「既婚者で子どもがいないのは未婚女性よりもキツイらしい」なんて話は同意出来るものの、決してめずらしい話題はない。一事が万事「あるあるネタ」の域を出ていないのだ。

エッセイなのだから「あるあるネタ」を改めて読ませるのが悪いとは思わない。物足りなく感じる理由は「プラスα」が無いからだと思う。あるあるネタを書いた上で、作者の優しさが感じられたり、あるいは痛烈な批判が書かれていたりすれば面白いと思うのだけど、この作品には残念ながらその部分が欠けているのだ。

そしても1つ。決定的に同意出来ないのが「子どものいない女性の生き方」について書いているにも係わらず、作者が自分の死後の始末を姪に託そうとしているところ。そしてそれを「当然のこと」として捉えているところだ。

人間は1人で死ぬ事は出来ないもので、どんなに気を配っていても遺体の始末等、誰かの世話にならざるを得ないのだけど「姪に面倒をみてもらう」と言う事を、この作品の中で堂々と言っちゃうのはどうかと思うのだ。結果的にそうなるのは仕方がないと思うのだけど「じゃあ、甥姪のいない独身者はどうなるの?」と言う部分には触れておらず、どこまでも自分本位でしか物事を語っていないあたりはエッセイストとして、どうかと思う。

イマドキな感じのテーマではあったけれど、得る物の無い1冊だった。

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子の無い人生 酒井順子 角川書店

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