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肉と衣のあいだに神は宿る 松井雪子 文藝春秋

作者の作品を読むのはこれで3冊目。初めて読んだ『刺繍天国』が面白かったので、なんとなく好印象の作家さんなのだけど、正直これは面白くなかった。

言葉は悪いけけど、毒にも薬にもならない感じの作品だと思う。

ハートフルで良い話。NHKのちょっと夜遅い時間帯に放送する連続ドラマにしても充分やっていけると思うものの、なんだかとっても勿体無い。

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肉と衣のあいだに神は宿る

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山間のかつ丼の名店「情熱とん」の看板娘、美衣がめぐりあう、さまざまな男たち。三十路美女の婚活をゆるやかに描く長編小説。

アマゾンより引用

感想

トンカツ屋の看板娘が主人公。父と兄、兄の娘と生活している主人公は婚活中。「婚活中」と言っても切羽詰った感じてはなく、ゆるふわテイスト。

主人公とトンカツ屋を中心に話が作られているのだけど、登場人物は揃いも揃って良い人ばかり。

主人公は美人だけど、地味で控え目で性格が良い。そして人の心を読むのに長けていて「その人が望む味噌汁を作ることが出来る」と言う特技まで持っている。

弱点は男性慣れしていなくて婚活に苦戦している…と言うところくらい。

「優しい世界」を通り越して「都合の良い世界」で鼻白んでしまった。

この物語に「婚活」って設定は必要だったのだろうか?

家族からも周囲の人からも愛される美人主人公の婚活なんて読まされても面白くもなんともない。

そもそも主人公は現状に満足している上に「ここではないどこかへ行きたい」と言うタイプでもないので「婚活なんてする必要ないんじゃない?」としか思えなかった。

人物描写は悪くない。人物の設定や性格の裏付けも細やかで、女性作家さんらしい丁寧な描き方がされている。

観察力のある作家さんだと思うのだけど、どうして「ゆるふわ」な路線に走ってしまったのだろう。

この路線で勝負する女性作家さんはやたら多い。そして残念ながら抜きに出るほどの実力がある人は1人もいない。

柚木麻子あたりが飛び出してくるかと期待していたけれど、今のところその気配はなさそうだ。

文学に男も女もないようには思うものの、同性の書いた物の方が共感しやすい…と言う意味で、私は女性作家さんが大好きだし、応援したいと思っている。

しかし残念なことに女性作家さんで飛び抜けて…と言う人にはなかなかお目に掛かれない。どれもこれも似たような話で個性が無い。

読者ウケを狙うとそうなってしまうのかも知れないけれど残念でならない。

初めて読んだ『刺繍天国』で読ませてくれた、ぶっちぎり感はどこへ行ってしまったのだろう?

この路線で生き残るのは難しいと思う。嫌われる事もないかも知れないけど、人の心に残りもしない。

とりあえず次の作品に期待したいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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