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日曜農園 松井雪子 講談社

失踪した父親が残した農園(市で貸し出している賃貸農園)で野菜を育てる娘の物語だった。娘は今時の女子高生で、家庭菜園なんて全く興味が無かったのだけど、これまた父が運営していた家庭菜園のHPを頼りに、不慣れながらも土と親しんでいく。

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日曜農園

忽然と姿を消した父が残した畑とホームページ。萌は父をさがして、農園に立った。しずかな悲しみと再生の物語。第131回芥川賞候補作。

アマゾンより引用

感想

主人公は、ひたむきに農園に取り組んでいた訳ではなく、成り行きと言うか半ば惰性で野菜を育てる。しかしその過程で今まで知らなかった父の一面を知り、また作物を育てることの楽しさを知っていく。

サラッっと筋書きを書くと、瀬尾まい子的なハートフルストーリーをイメージしそうだが、そうで無いところが面白かった。

全編通して、気だるい雰囲気が漂っていて、なんとなく湿っぽい。

物語は最後まで結末らしいものを提示しないし、主人公の女子高生も劇的に成長したりはしなかった。

しかし、この作品はそこが良いのだと思う。

人は何か特別なことを経験することで劇的に成長することもあるが、たいていの場合その歩みは「ほんの少し」でしかない事の方が多いのだから。

ある意味においてリアリティに溢れた作品だと思う。

この作品の中では主人公以外にも、主人公の母親は祖母が登場するのだが、みなそれぞれに通じ合っていない感じがして、その辺も「今時の家族の姿」をリアルに捉えているように思った。

テーマは農作業を通じて、主人公が「父を知る」ことにあるのだと思う。

主人公は自分の知らなかった父の姿を知るのだが、読後は「良かったね」というよりも、主人公の父も、彼女もまた孤独なのだと言うことを感じさせられて、ほんのりと哀しい気持ちにさせられた。

それにしても日本人は農耕民族なのだなぁ…と思った。

私は家庭菜園どころか、まともに花を育てたことさえ無いのだけれど、この作品を読んでいると「土いじりって楽しそう」と思ってしまった。

子供の頃は誰もが泥んこ遊びをした経験があると思うが「土を触る」という行為はその頃に回帰していくようなそんな要素もあるのではないだろうか。

この作品は芥川賞候補になったとのことだが「候補止まり」なのは頷ける。

けっこう良いのだけど、パンチが弱い。

個人的にはかなり好きな作風なのだけど、既存の作家さんの作風と被るのが残念に思う。

松井雪子の作品を読むのはこれで2冊目だけど、2冊ともそこそこ気に入ったので、今後も追っていきたい。

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白い木蓮の花の下で
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