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踊り子と将棋指し 坂上琴 講談社

今年はまだ3ヶ月も経っていないけれど、今のところ今年読んだ中で1番面白かった!

なんなの、この面白さ? 全く知らないノーチェックの作家さんだと思ったら、これがデビュー作だなんて。もっともデビュー作と言っても作者は54歳。作者は京大卒で新聞社勤務というエリートコースを歩いていたのてに、アルコール依存症で新聞社を退職。その後、小説を書いてデビューした……と言う面白い経歴の持ち主。これは期待せざるをえない。

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踊り子と将棋指し

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ザックリとこんな内容
  • 作品はの内容は題名通り。ストリップだのSMショーだので身を立てている30代の踊り子と、アルコール依存症の将棋指し男の物語。
  • アルコール依存症を治療中の将棋指しの男は病院を抜けだして酒を飲み、一過性の記憶喪失を発症する。
  • 将棋指しの男を助けてくれたのが踊り子の依子。
  • 依子は将棋指しの男を「三ちゃん」と名付け、三ちゃんのヒモ生活がはじまる。
  • 依子が何故、三ちゃんをヒモにしたかと言うと、依子の父親、兄、そして死んでしまった恋人がアルコール依存症だったから……と言う設定。

感想

依子は大阪の劇場に呼ばれ、三ちゃんと一緒に大阪へ行く。

そんな流れになっているので『踊り子と将棋指し』の舞台は大阪が多い。

大阪の後で和歌山県の白浜に行くのだけれど、大阪に住んでいる私としては自分の住んでいる土地が登場するのは嬉しい限り。

大阪って吉本新喜劇的と言うか、漫才的に描かれる事が多いのだけど、この作品に登場する大阪はプレーンな大阪って感じで好感が持てた。

日常風景の描写も丁寧で映像化したら絶対にウケると思う。実在した早逝の棋士モデルにした大崎善生『聖の青春』も映画化するとの事なので、私が映画監督なら将棋繋がりで映画化しちゃう。

物語は「三ちゃんの正体」と、依子のバックボーンが核になっている。

三ちゃんの正体を書いてしまうのは野暮なので、気になる方は是非とも読んで戴きたい。将棋が好きな人なら私以上に楽しめると思う。

面白いのは三ちゃん側の話だけれど、私が気持ちを添わせてしまったのは依子のが歩んできた人生。西原理恵子風に言うなら「いらん苦労をしてきた人」だと思う。

「それでもどっこい生きている」ところに共感を覚えた。

お話の中に登場する駄目人間って、どうしてこんなに愛おしいのだろう?

とくに「三ちゃん」はアルコール依存症のヒモと言う最悪な設定なのに、駄目人間ながらも優しいところが気に入った。

そして依子さんのいい女っぷりも気持ちいい。切符の良い姉さんって感じでも、不幸な尽くす女って感じでもなくて、ほどほどにお節介で優しくてしっかりしていて最高だ。

私が男ならこういう女と結婚したい。

ラストは気持ちの良いハッピーエンド。だけどアルコール依存症って立ち直れない人が多いと聞くので、三ちゃんが本当の意味で立ち直れたかどうかが気になって仕方がない。

出来ることなら2人のその後を読みたいと思うほどだ。

作者はこの作品で小説現代長編新人賞を受賞している。

次の作品も是非読みたいと思うのだけど、心配なのは作者自身も主人公と同じくアルコール依存症だと言うこと。

この病気って根本的には治らない。中島らもは自分から死へ突っ込んでしまったけれど、作者には是非生きて作品を書いて欲しいと思う

次回作を期待しているし、応援したいと思う。

残念ながら作者である坂上琴は2冊目の作品を出しておらず、twitterアカウント(@koto_sakagami)も本人の公式ブログも更新はストップしたままです(2019年4月現在)

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白い木蓮の花の下で
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