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薄情 絲山秋子 新潮社

久しぶりに「ちょ! これはタイミング良過ぎですよ!」と驚いた1冊。

図書館の新刊本コーナーに並んでいたので発売して、それほど時間が経っていないと思うのだけど、暖冬からの唐突な大雪があったり、ベッキーの不倫騒動があったりした後のこの作品を読むと、色々と刺さる。

物語のは大雪で街が隔絶されるところからはじまるのだ。新潮社さんはもっと押していいと思う。それこそ「今でしょ!」って感じだと思う。

ちなみに谷崎潤一郎賞受賞作とのこと。

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薄情

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内容(「BOOK」データベースより)

他人と深く関わることを避けながら暮らす宇田川静生。

彼は、都内から移住してきた木工職人・鹿谷さんの工房で、そこに集う人たちとのしがらみのないお喋りを楽しみながら日々を過ごしていた。鹿谷さんの自由な空気が心地よかったのだ。

しかし、名古屋から戻ってきた高校の後輩・蜂須賀との再会以降、少しずつ彼の人生は変化していき…。

アマゾンより引用

感想

時期的にタイムリーな作品だとは思うものの、好きか嫌いかを聞かれると個人的にはあんまり好きじゃない。ただ「上手いなぁ」とは思った。

舞台は群馬県。群馬県の方なら共感を持って読める部分が多いのではないかと思う。群馬県の方でなくても「超田舎ではなくほどほどの田舎」にお住まいの方なら「分かるわぁ~」と思えるのではないだろうか。

私自身は田舎の生活を知らないけれど、親戚から伝え聞く話に近くて「なるほどなぁ」と読み進めていった。

まずこの作品を読みはじめて感じたのは「田舎に住むのは難しい」ってことだ。

恐ろしく退屈なのだ。文章全体に鬱屈した雰囲気が漂っていて、読み進めていて鬱々とした気持ちになってしまった。

もちろん、田舎にも良いところはあると思うのだけど、この作品の中ではネガティブ方面にスポットが当たっている。

物語の主人公は伯父の跡継ぎとして神主になる予定でいる無職の若者。会社勤めをしていた時期もあったのだけど、退職して神社を手伝ったり、キャベツ農家のアルバイトをしたりして暮らしている。

主人公の次に重要な登場人物は鹿谷と言う木工作家(?)の男。工房を持っていて、その工房には人々のたまり場になっている。主人公もその1人。

鹿谷はテレビ番組の『人生の楽園』なんかに出てくるような気ままで素敵なアートライフを送っているように描写されていて、正直「あ~。また『かもめ食堂』な感じの素敵な田舎暮らし賛美の話か」と思ったのだけど、予想外の展開に驚かされた。

この流れについては壮大なネタバレになるの気になる方は読んでみてください。

それにしても立ち位置が微妙な作品だと思う。

読後感は良くない。登場人物達も分かりやすい「いい人」は出てこない。小狡かったり、身勝手だったりする人が多くて、読んでいて良い気分にはなれい。

だけど「人間なんてそんなもの」と言われてしまえばそれまでだし、上手いと言えば上手い。物語を最後まで読むと、どうしてこの作品に『薄情』と言う題名が付いているのかが分かると思う。

好きか嫌いかを問われると好きではないけれど、なかなか上手い作品だと思った。

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白い木蓮の花の下で
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