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つかこうへい正伝 長谷川康夫 新潮社

恥ずかしながら私がこの本を読んで1番驚いたことは「つかこうへいって、死んじゃってたの?」って事。

きっとニュースなんかで見聞きしていたと思うけれど、右から左へ流してしまったのだと思う。

これは私だけかも知れないけれど、強烈な作品を残した作家さんって作品がある限り「いなくなった」って気がしないのだ。

勿論、作品を読む前から故人だったりする場合は別なのだけど。

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つかこうへい正伝

時代を変えた天才演出家、つかこうへい。しかし、その真の姿が伝えられてきたことは、かつてなかった―。

70年代の“つかブーム”を共にした著者が風間杜夫を始め関係者を徹底取材。

怒涛の台詞が響き渡る“口立て”稽古、伝説の舞台、そして人間つかこうへいを鮮やかに描き出す!狂熱の演出家、唯一無二の評伝。

アマゾンより引用

感想

題名の通り、この作品は「つかこうへい」の伝記のようなもの。

「ようなもの」と書いたのは、作者がつかこうへいと近い人がゆえに、思い入れたっぷりで内容に偏りがあり「伝記」と呼べるほどのものではないため。

正直、つかこうへいや、彼の芝居なり著書なりが好きな人なら面白いだろうけれど、そうでない人が読んでも全く面白くないと思う。

私の場合、つかこうへいの芝居が好きなので興味深く読む事が出来た。

私がつかこうへいの芝居を観るようになった時、既につかこうへい劇団は解散していて彼のピーク時は全く知らない。

それだけに劇団黎明期の熱い話はとても面白かった。

特につかこうへいが20代の若さで『戦争で死ねなかったお父さんのために』と言う作品を書いたのには驚かされた。私も大好きな作品なのだけど、てっきりそこそこ歳を重ねてから書かれたものとばかり思ってたのだ。

あの作品を20代で生み出せるだなんて、やっぱり、つかこうへいは世の中に出るべくして出た人なのだと確信した。

特に興味深かったのは、つかこうへいが芥川賞作家、堀田善衛のお嬢さんの百合子さんに恋していたと言うエピソード。

高嶺の花って感じのお嬢さんに、つかこうへいが純情を捧げていたとは。しかも百合子さんからは「沢山いるボーイフレンドの1人」としか思われていなかったってところが切ないではない。

それなのにつかこうへいの代表作『広島に原爆を落とす日』には「百合子」と言う名の美しいヒロインが登場している。このエピソード、なんかキュンときてしまった。

それはそうと、つかこうへいって恐ろしくパワフルで魅力的ではあるけれど「巻き込まれるのはゴメンだな」と言うのも正直な感想だ。

だけど、彼に惹かれてついていった人が沢山いたのも分かる気がする。つかこうへいは色々な意味で特別な人だったのだろう。

「作品=作者」ではないって事は分かっているけれど、作家の書く作品って多かれ少なかれ作者自身が反映されるように思う。

つかこうへいの独特な作品は彼でなければ作れなかったと思う。

つかこうへいの作品が好きな人なら相当楽しめると思うので、是非手にとって戴きたい。

残念ながらお値段3000円と相当お高いので「そこまで出せないわ」って場合は、図書館で借りるか文庫化を期待してください。

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