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金魚姫 荻原浩 角川書店

お久しぶりの荻原浩。嫌いじゃないのだけど私にとって当たり外れの激しい作家さん。

ツボにハマる時は最高なのだけど、微妙に外す事も多い。そして今回は当たりだった。

日本の大人のファンタジーって感じの作品。『押入れのちよ』が好きな人なら大丈夫だと思う。

ちなみに私は『押入れのちよ』はイマイチだったけれど、この作品は大丈夫だった。

和風の大人向けファンタジーと言う意味では『押し入れのちよ』のノリと似ているのだけど『押し入れのちよ』は短編。この作品は長編と言うあたりで差がついたように思う。

短編には短編の良さがあるけれど、長編の方が登場人物に思い入れがしやすいの私好みだったのだと思う。

今回は軽くネタバレを含むのでネタバレが苦手な方はご遠慮ください。

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金魚姫

勤め先はブラック企業、うつうつと暮らしていた潤。日曜の夕刻、近所の夏祭で目に留まった金魚を持ち帰ったら、部屋に妖しい美女が現れて……!? 金魚の化身に戸惑う潤。だがそれ以来、商談が成立するようになり。

アマゾンより引用

感想

主人公は仏壇を販売する会社で働く営業マン。ちなみに会社は典型的なブラック企業。

主人公が夜店の金魚すくいで金魚をゲットするところから物語がはじまる。金魚は美しい中国人女性に姿を変え、主人公と人間に变化した金魚との生活が描かれていく。

金魚はかつて人間だったらしく、妖怪(?)になった経緯も、自分の名前も分からないところからのスタート。

ラノベと言えばラノベだし、昔話風とも言える。正直、ファンタジー属性の無い人にはオススメ出来ない。

「細けぇこたあぁ、いいんだよ」と大らかな気持ちで挑まないとやっていらなれない。そこさえ乗り切る事が出来るのなら、それなりに楽しめる作品だと思う。

本も好きだし、アニメも好きだという立場から言わせてもらうと、アニメ化・映像化が似合う作品だと思う。

「ミステリアスな不思議系美女との同居生活」なんて、ヲタク業界の変態紳士達は大好きな設定だ。たぶんウケる。

さらに言うならブラック企業で働く若者達が読んでも面白いと思うし、介護だの老人問題だのに悩む中高年が読んでも面白いと思う。実に素晴らしい。

設定はさておき。肝心の物語だけどテンポよく進んで飽きない作りになっている。

主人公の男性の立ち位置が少しずつ変化していくと同時に金魚姫リュウの過去が少しずつ明かされていく。王道展開で特に驚かされるような話ではないけれど、だがそれが良い。

ハッピーエンドと言えはハッピーエンドではあるのだけれど、切なさ溢れる良いラストだった。

愛する人を慮って身を引く女は最高だ。もちろん、これは創作として読むからそう思うのであって、現実問題となると可哀想でたまらないだろうけれど。

重くなく、軽過ぎることもなく、大人向けファンタジーとしては良く出来ていると思う。

一気に読んでしまうほど楽しませてもらった。

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白い木蓮の花の下で
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