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あの子とQ 万城目学 新潮社

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万城目学作品を読むのは直木賞を受賞した『八月の御所グラウンド』以来はじめて。

ポップ過ぎる表紙に「ラノベかな?」と思って手に取ったのだけど、実際ラノベ調だった。「万城目学って最初っからそんな作風だったでしょ?」と言ってしまえばそれまでだけど、それにしてもラノベ化が凄まじくて、どんどん低年齢化している印象を受けた。

ごめん…52歳。初老に片足を突っ込んでいる私にはちょっとキツかった。

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あの子とQ

ザックリとこんな内容
  • 吸血鬼の一族である嵐野家は、現代の吸血鬼は人間社会に溶け込んでいた。
  • 現代を生きる吸血鬼は人の血を吸うなんてもってのほかとされていて、嵐野家の一人娘・弓子は親友のヨッちゃんと楽しい高校生活を送っていた。
  • しかし弓子の前にある朝突然「Q」というトゲトゲのばけものが出現した、
  • Qは弓子が17歳の誕生日を迎えるまでの10日間、人の血を吸わないか監視に来たと言うのだが……

感想

『あの子とQ』はラノベだと思って読めばよく出来ていると思う。軽くてサクサク読めるし最初から最後まで楽しい作品に仕上がっている。だけど、正直大人向けの小説としてはあまりにも軽い…軽過ぎる。

ひと言で言うと「小説じゃなくてアニメの方が似合う作品ですね?」ってところだ。

キャラクターはそれぞれに個性的で面白いし「現代日本を生きる吸血鬼」って設定もイカしている。だけど…あまりにもファンタジー寄りと言うかアニメ風だったので、物語に入り込むことができなかった。

そう言えば。今年は『成瀬は天下を取りにいく』が本屋大賞を受賞して、一世風靡したけれど、それでもまだ成瀬はギリギリ大人の読み物として許容範囲だった。軽くて楽しいノリだけど、成瀬にはファンタジー要素が含まれなかったのが良かったのかも知れない。

私は『あの子とQ』を楽しむことができなかったのだけど、アニメだったら楽しめたと思うし、典型的なハッピーエンドで物語自体は悪くない。直木賞を受賞した万城目学の最新作だ…みたいな心構えで読まずに最初から「これはラノベです」みたいな感じで読めば、もしかしたらアリだったのかも知れない。

……それはそれとして。ところどころ突っ込まれる昭和ネタは何だったんだろう? オヤジギャグ過ぎて戴けなかったのだけど、あのノリは一周回って面白かったのだろうか? 万城目学のセンス…謎過ぎる。

万城目学は現代ファンタジー設定の軽いノリの話が多いとは言うものの、もうすこし高齢者に寄せてきて戴けるとありがたいのだけどなぁ。次回作に期待したい。

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