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映画『今日もどこかで馬は生まれる』感想。

『ウマ娘』にハマった夫が突然1本のDVDを差し出した。わざわざ購入したとのこと。

『今日もどこかで馬は生まれる』は競馬を引退したサラブレッド(引退馬)をテーマにしたドキュメンタリー映画。

私は今までの人生で1度たりとも馬券を買ったことはないし、競馬場に行ったこともない。だけどウマ娘をキッカケにテレビで競馬を観るくらいには競馬に興味を持っている。

私はまったく予備知識無しで「ウマの誕生からレースに出るまでのハートフルストーリーかな?」くらいの気持ちで視聴したのだけど、なんか全然思っていたのと違っていた。

楽しい映画ではないけれど、競馬を好きな人は観ておくべき作品だと思う。

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今日もどこかで馬は生まれる

残酷なシーン(屠畜場の場面)が含まれるので苦手な方は再生しないことをオススメします

今日もどこかで馬は生まれる
監督平林健一
製作総指揮平本淳也
出演者荒木貴宏、 佐々木祥恵、 沼田恭子、 初田理奈、 川越靖幸
公開2019年
製作国日本の旗 日本

あらすじ

引退した競走馬と、馬に関わる人びとを追ったドキュメンタリー作品。

今まで、競馬で走ることができなくなった馬の存在はあまり語られることがなく、競馬を馬の引退後の行き先は競馬産業に関わる人びとの中で暗黙の了解となっていた。

実は馬たちの多くはレースを引退後、天寿を全うする前にその生涯を終えていたのだった。

引退馬を取り巻く課題について、競馬ファン、馬主、調教師、生産者、馬を生かしたビジネスを展開する経営者など、様々な立場の人の声を拾い集めていく。

引退馬の末路

まず衝撃的だったのが年間8000頭の競走馬が食肉になっていると言う事実だった。

私は競馬をしたことのない人間なので「サラブレッドが引退した後は乗馬クラブに行ったり、ふれあい牧場的なところで働くのかな?」くらいに思っていたのだけれど、それどころか競走馬の中で天寿をまっとう出来る馬はごく少数とのこと。子孫を残せる馬はレア中のレア。多くの馬は屠畜場へ行くことになる。

テレビで競馬を観るようになって「馬って可愛いな。競馬楽しいな」くらいの気持ちでいたけれど、競馬と言う娯楽の闇に愕然としてしまった。

牛や豚は食べて良いけど……

屠畜場に運ばれてくるのは競走馬だけじゃない。むしろ競走馬は少なくて、メインは私達が日頃口にしている牛や豚。

「牛や豚は食べて良いのに馬なら駄目なのか?」

……って話だけど、食べるために育てる牛や豚と、人間の娯楽のために厳しい訓練をして、酷使した上に食べる馬はちょっと話が違う気がする。

私が子どもの頃は「ペットとして飼っていたニワトリをおじいちゃんが〆て食べた」みたいな話がちょくちょくあったけど「食べるためのニワトリとペットのニワトリ」は違うでしょ?」ってのと同じ話。

最近は「引退馬の行き先を考えよう」と言う活動が少しずつだけど広まっていて、そんな活動をしている人達が何人か登場していた。

馬は経済動物

『今日もどこかで馬は生まれる』の中で「馬は経済動物」と言う言葉が何度となく登場する。経済動物とは、その飼育が畜主の経済行為として行われる動物の総称。

正直、最初はピンとこなかったのだけど、JRAの売上高は2兆7000億円。国庫納付金は約3000億円とのこと。競馬って娯楽は単なるギャンブルではなくて、日本の経済を支えていた。

これはあくまでもJRA単体の話であって競馬と関わって働く人もたくさんいて「競馬は動物虐待。競馬なんてやめちまえ」とは言い難い。

競馬がそこまで大きなお金を動かしていたなんて全く知らなかったので、私にとってこの事実は衝撃的だった。

競走馬と関わる人達

競走馬と関わる人達はなんだかんだ言って馬が好きなのだと思う。だけど、みんな口を揃えて「割り切っていかないとやっていけない」と言う。自分が育てた馬、訓練した馬が最終的に食べられるても良いと思っている人は1人もいないのだと思う。

そんな現実と向き合っている人も追っていたけど、それでも救える馬はひと握り。現実はなかなか厳しい。

『今日もどこかで馬は生まれる』は重いテーマの作品だけど、素晴らしいドキュメンタリー映画だと思う。まずは「現状を知ってもらう」ところから…と言う試みは高く評価したい。

引退馬のための活動が色々紹介されていたけど、根本的にどうにかしようとするならJRAが動くしかないだろうなぁ。収益の一部を引退馬牧場の運営にあてる…とか。

ちょっと気になったのは海外の競馬事情。アメリカやイギリスやフランスも競馬が盛んだけど、海外の引退馬はどんな風に過ごしているのだろうか? ヨーロッパ圏の人は動物愛護にうるさい印象があるのだけれど。

少しばかりググってみたものの、明確な情報はひとつもなくて「世界的にみると日本の引退馬の方がまだマシ」みたいな記事さえあった。

私は競馬と深く関わっていないので、意見を言えるような立場ではないけれど、とりあえず『今日もどこかで馬は生まれる』は素晴らしいドキュメンタリー映画だと思ったし、競馬が好きな人は是非観て欲しい。

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白い木蓮の花の下で
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