『教場』は木村拓哉主演でドラマ化されている作品でテレビでドラマのCMを観てちょっと気になっていた。ただ私はテレビドラマを観る習慣がないので「どうせなら原作小説読もうかな」と思いつつ、今回ようやく読むに至った。
テレビドラマの『教場』はなかなかの人気シリーズでシリーズ化もされているそうなのだけど、残念ながら私の好みにはまったく合わなかった。たぶんこれは好みの方向性の違い…ってヤツだと思う。
教場
- 警察学校を舞台にしてミステリ小説。
- 警察学校初任科第九十八期短期課程の生徒たちは義眼の教官、風間公親にの厳しい指導を受ける。
- 「警察学校は警察官として適性のない者をふるいにかける場」と言う概念がベース。
- 短編連作形式で各章ごとに主人公が変わっていく。
感想
残念ながら私の好みから大きく外れる作品だったのだけど、ハマる人はハマると思う。これは方向性の違いなので「この作品はクソ」とかそう言う話ではない。
私が苦手としたのは「同期同志での憎しみ」が前に出過ぎていたところ。そりゃあ順位を競う訳だから、嫉妬の感情はあって当然だと思うし「だからこそ成長できる」って部分があるのも認めるけれど、やり方が汚いのが受け入れ難かった。
そして『教場』は警察官を育てる場なのに「えっ? こんな人が警察官になるの?」と思ってしまうような人間が登場するところも好みではなかった。警察官と言っても人間なので清廉潔白だったり、好人物ではいられないのは理解出来るものの「警察官=正義の味方」みたいな価値観で幼少期を過ごしてきただけに「警察学校ってこんなところなのか…嫌だなぁ…」って思ってしまったのだ。
なんかこぅ…全般的に鬱々とした空気感がキツかった。
ただ私が苦手だと感じる部分は人によっては魅力なのだと思う。
そもそもミステリ小説ってトリックと人の悪意を書いてこそ…みたいなものだとすれば『教場』はミステリ小説であって、お仕事小説とか成長小説ではなかったんだねった話。
『教場』はものすごく好みのジャンルのように見えて、まったく好みではなかった。言うなれば「同じ宗教だけど宗派が違うから無理」みたいな感じ。
そんな訳で私はまったく楽しめなかったし、これ以上続きを読もうとは思わない。だけど悪い作品ではないんだろうな…とも思った。