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屋上のウインドノーツ 額賀澪 文藝春秋

額賀澪の作品を読むのはこれで3冊目。初めて読んだ『競歩王』が面白かったけど、次に読んだ『転職の魔王様』は正直好みじゃなかった。3冊目の『屋上のウインドノーツ』は松本清張賞を受賞していて額賀澪の出世作。

今回は好みだった。年齢は違うものの『競歩王』と同じ路線。努力と友情。少年ジャンプにありそうなテーマをキッチリ抑えていて、大人よりもむしろ中高生に読んで欲しいような作品だった。

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屋上のウインドノーツ

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ザックリとこんな内容
  • 主人公、給前志音は私立中学に通う3年生。これまで勉強にしてもスポーツにしても人間関係にしても唯一の友達に依存して生きてきた。
  • 志音は離れて暮らしていた父との再会をきっかけに、あえて友達がひとりもいない県立高校への進学する。
  • 志音の父はその後、過労が原因で急死。父の遺品の中からドラムと「志音、大志を抱け」と書かれた日記を見つけた志音はドラムの練習を始める。
  • 県立高校入学後、学校の屋上でドラム(エアで)の練習をしていた志音は吹奏楽部の部長・日向寺大志から入部を誘われる。
  • 「東日本大会に行こう」大きな目標に向かって志音と吹奏楽部の挑戦がスタートする…

感想

ひと言で説明すると『屋上のウインドノーツ』は部活動と青春を描いた成長小説だった。

「部活物」と言うと、どうしても体育会系の部活ばかりが取り上げられがちだけど『屋上のウインドノーツ』に登場するのは吹奏楽部。

吹奏楽は文化系部活動の中でも「文化部の中の体育会系」と言われるほど練習が厳しく、連帯が強い特殊な部活。吹奏楽のコンクールは甲子園だと思ってもらって良いと思う。それくらい吹奏楽部は熱血方面の部活に属する。

熱血部活動物…と言うと熱血主人公かと思いきや、主人公の志音は面倒くさい性格。女性なら自分の身の回りに1人くらい志音みたいなタイプの人がいると思う。「はぁ~。いるよねぇ。こう言うタイプの面倒くさい女子って…」みたいな。

志音は自分に自信がなくて、自分より優秀な友達にコバンザメのように張り付いているくせに、その実張り付いている対象の子に対して僻みを感じている。まぁ…見ようによってはムカつく性格なのだけど、そんな自分を変えようと奮闘するところが素晴らしい。

志音の成長の仮定って「女子あるある」と言っても良いと思う。私は物凄く苦手だったのだけど、女子同士のベッタリした関係にハマってしまうタイプの子ってけっこう多い。『屋上のウインドノーツ』はそのあたりが上手く描けていたと思う。

……思うに。額賀澪って作家は「同性同士の友情」を書くのがピカイチに上手いのだと思う。

夢中になって読んだ『競歩王』も同性同士の友情が大きな役割を担っていた。だけど『転職の魔王様』は友情ではなく「男女」での関係だったので、なんかこう「コレジャナイ」だったのだ。

物語の展開はあえて書かないけれど、青春小説に相応しい爽やかな内容だった。主人公の志音だけでなく、志音の周りにいる若者達もそれぞれ成長していて「良かったね」と素直に嬉しくなってしまった。

額賀澪…良い作品書くなぁ。これからは新刊が出たら追っていこうと思う。

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白い木蓮の花の下で
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