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知的障がい者の性と妊娠&出産について。

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ちょい前に「グループホームで知的障がい者の女性が出産した子どもを殺した」と言う事件があったのだけど、先日も知的障がい者のいる家族内での殺人事件があった(この事件については途中から知的障がい云々…について報道されなくなったけれど)

知的障がい者の妊娠や出産については障害者支援界隈では様々な意見がある。「障害者の性教育の必要性」とかそういうところ。だけど私はどの意見を読んでも「綺麗事だな…」としか思えなかった。

障害児支援の仕事をしている人間が絶対に口に出していはいけない事だけど、私は知的障がい者が出産することは反対だ。それが知的障がい者の人権を無視する考えである事は理解しているけれど、それでも賛成することはできない。

日本人は等しく「基本的人権」が認められていて、かつて存在した優生保護法なんて法律も今は存在しないし、それどころか優生保護法にまつわる裁判があちこちで行われている。

「知的障がい者にも性欲はあるし妊娠・出産の権利がある」と言うことは理解しているけれど「じゃあ、出産して子どもは誰が育てるの?」って話。さらに言うなら「出産した子どもは幸せになれるの?」ってところもある。

友人のFは生活保護のケースワーカーをしているけれど「私の同僚の中に障がい者の出産に賛成している人は1人もいない」と言う。「散々っぱら地獄のようなファミリーツリー(家系図)を見てきているからね」とのこと。

ファミリーツリーとは生活保護受給者の家族関係を記した物らしくて、何代にも渡って生活保護を受けている…なんて事は「あるある」とのこと。

知的障がい者の子もまた知的障がい者…とか、もっと酷いことになると「知的障がい者の兄妹間で性交渉の末に子どもを産んで、その子もまた知的障がい者で…」みたいなことも起きる。だけどこの類の事実って、聞きたくないことなので世の中で取り上げられる事はない。

また知的障がい者が健常児を産んだ場合、生まれた子は生まれ落ちた瞬間かにらヤングケアラーとして生きる未来しかない。「それはそれで可哀想で見ていられないよ」とのこと。

実際、障がい児の支援施設でも似たようなケースに眉をひそめることがある。プライバシー云々があるので詳細は書けないけれど「親子で障がい者」ってケースは案外多いし、親が何らかの障がいを持っている場合、生まれてきた子は充分なケアを受けることができない。

「障がいを持った親も子も全て国が責任を持って支援する」と言うのであれば、知的障がい者の性や妊娠&出産を応援できるけれど、実際はそうじゃないのだ。日本では今、障がい者や老人の脱施設化を進めている。

「障がい者の性や出産も権利として認めるべき」と声高に叫ぶ人は、地獄のようなファミリーツリーを見ても何も思わないのだろうか? 障がい者の人権も尊重すべきなのは分かるけれど、じゃあ生まれてきた子の人権はどうでも良いの?

世の中は綺麗事だけではやっていけない。それでもあえて綺麗事を通したいなら相当の覚悟が必要なのだ。その覚悟が無いなら黙ってて欲しい。

……なんて話。職場では絶対に出来ないしリアルで口にした事はない。綺麗事が実現出来る世界になればいいね…とは思うものの、理想と現実はあまりにも掛け離れいる。

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